第7章 公安の維持 

(2) オウム真理教対策の推進

 〔1〕 特別手配被疑者の追跡捜査の推進
 警察は、平成7年の地下鉄サリン事件以降、教団のテロ事件等に対する捜査を強力に推進し、これまでに、松本を始めとする教団幹部と信者合わせて500人以上を検挙した。16年7月現在、18人に対して死刑又は無期懲役の判決がなされており、首謀者である松本は、16年2月27日、起訴された13件すべての事件で有罪とされ、死刑が言い渡された。しかし、警察庁指定特別手配被疑者である平田信、高橋克也及び菊地直子の3人は、16年7月現在、依然として逃走中である。
 このため、警察は、特別手配被疑者3人の発見検挙をオウム真理教対策の最優先の課題とし、広く国民の協力を得ながら、全国警察を挙げた追跡捜査を推進している。

 
捜索時の状況(松本被告の映像等)

捜索時の状況(松本被告の映像等)

 〔2〕 組織的違法行為に対する厳正な取締りの推進
 警察は、教団に関連する組織的違法行為に対し、厳正な取締りを推進している。15年中は、9件の事件で17人を検挙するとともに、12都府県で延べ63か所を捜索し、関係資料約3,900点を押収した。
 これらの事件捜査を通じて、以下のような教団の実態が明らかとなった。
 ○ 在家信者名義の住宅が教団の資金で購入され、そこに出家信者らが居住していた。警察からの通報に基づき、破産管財人が教団資産として回収した(15年1月、滋賀)。
 ○ 在家信者が、虚偽の住民登録により教団との関係を隠して、出家信者の居住場所や活動拠点を確保していた(15年2月、長野)。
 ○ 在家信者が、個人で使用すると入居目的を偽ってマンションの一室を借り、外部からは教団施設と分からないように偽装し、活動拠点として使用していた(15年6月、岡山)。
 ○ 女性出家信者が偽名を使い、インターネットサイトで知り合った男性を「ヨガ教室」に誘い、さらに他の女性信者が「さくら」役になるなどして、教団支部に誘引していた(15年6月、愛知)。

 〔3〕 教団施設周辺地域における警戒警備の徹底
 警察は、国内外の教団信者による不法事案を未然に防止し、教団施設周辺の住民の平穏な生活を守るため、関係機関と連携して教団の実態把握に努めるとともに、警察官詰所の設置やパトロール、検問等の警戒警備活動を実施している。

 7 オウム真理教等の動向と対策

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