第7章 公安の維持 

7 オウム真理教等の動向と対策

(1) オウム真理教の動向

 〔1〕 現在も危険性を有するオウム真理教
 オウム真理教(以下「教団」という。)が、麻原彰晃こと松本智津夫被告の指示の下、地下鉄サリン事件を始めとするテロを行ってから、9年が経過した。しかし、教団は、依然として首謀者である松本の強い影響下にあり、組織活動の閉鎖性及び欺瞞性を維持しているなど、再び無差別大量殺人行為に及ぶ危険性が認められる。こうした教団の危険性は、平成15年1月、公安審査委員会による観察処分の期間更新決定において、改めて認定された。
 また、その後も、警察の捜査等により、再び「尊師麻原」を前面に出した活動を推進していること、分派グループが存在していることなど、いまだ国の治安に対する危険性を具備する団体であることが明らかとなった。
 さらに、15年10月には、米国政府が、米国移民国籍法に基づき、「テロを行う能力と意図の保持」等の要件に該当するとして、教団を「海外テロ組織」の一つに再指定した。

 
図7-8 オウム真理教拠点施設等

図7-8 オウム真理教拠点施設等

 〔2〕 教団名を伏せた施設確保と信者勧誘
 教団の拠点施設は、11年の16都道府県34か所をピークに減少していたが、近年、再び地方への進出が強まり、15年2月末には、18都道府県31か所に達した。これに伴い、周辺住民の強い反発が生じたほか、欺罔(ぎもう)行為により秘密裏に施設の確保を図る組織的な違法事案も摘発された。こうしたことから、撤退を余儀なくされる施設が相次ぎ、16年7月末現在、17都道府県26か所にまで減少した。
 また、15年中に摘発した事件の捜査を通じ、教団が、インターネットのウェブサイト、大学や地域のサークル活動等を通じ、教団の名を伏せた信者の勧誘活動を組織的に行っていることが明らかとなった。

 7 オウム真理教等の動向と対策

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