第7章 公安の維持 

6 日本共産党等の動向

(1) 日本共産党の動向

 〔1〕 綱領改定
 日本共産党は、平成16年1月の第23回党大会で、昭和36年の第8回党大会で採択して以来5回目となる綱領改定を行った。改定案を提案した平成15年6月の第7回中央委員会総会では、国民により分かりやすい表現とすること及び採択後42年間の情勢の進展や党の理論・政治活動を反映させることを主眼としたと説明した。
 改定により、マルクス・レーニン主義特有の用語や国民が警戒心を抱きそうな表現を削除、変更するなど、綱領の記述は「革命」色を薄めソフトイメージを強調するものとなった。しかし、民主主義革命から社会主義革命へと進む二段階革命論や幅広い勢力を結集する統一戦線戦術といった現綱領の基本路線に変更はなく、不破哲三議長も改定案提案時、「綱領の基本路線は42年間の政治的実践によって試されずみ」として、これまでの路線の正しさを強調した。
 このため、警察は、現綱領が討議され採択された昭和33年の第7回党大会から第8回党大会の間に、党中央を代表して報告された「敵の出方」論(注)に立つ同党の革命方針には変更がないものと判断し、引き続き同党の動向には重大な関心を払っている。


注:「革命への移行が平和的な手段でおこなわれるように努力するが、それが平和的となるか非平和的となるかは結局敵の出方による」とする考え方で、昭和33年第7回党大会における中央委員会報告で説明されている。

 〔2〕 党勢の推移
 平成15年4月の第15回統一地方選挙における日本共産党の獲得議席数は2,227議席(前回比167議席減)にとどまった。これにより、改選のなかったものと合わせて地方議員の総数は4,209人となり、14年末の4,375人と比べて大きく議席を減少させた。この結果を総括した15年5月の第6回中央委員会総会では、「「しんぶん赤旗」の読者後退が大きな痛手だった」とするとともに、翌6月から第23回党大会に向け、「党員・読者拡大の大運動」に取り組むこととし、15年6月には、国民に分かりやすい表現にしたとする綱領改定案を発表した。

 
図7-5 日本共産党地方議員数の推移

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 こうした取組みにもかかわらず、15年11月の第43回衆議院議員総選挙における獲得議席数は9議席(前回比11議席減)にとどまり、議席を半減させた。総選挙で同党の獲得議席が一けた台となるのは、昭和42年の5議席以来、36年ぶりであった。

 
図7-6 衆議院議員総選挙における共産党の獲得議席

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 なお、16年7月の第20回参議院議員通常選挙における獲得議席数は、比例代表のみの4議席(改選比11議席減)にとどまった。同党がすべての選挙区で議席を失ったのは、昭和34年(当時は「地方区」)以来45年ぶりであった。
 他方、16年1月の第23回党大会で明らかにした党員数は約40万人で、12年の前回大会時の公表数約39万人よりわずかに増加したが、機関紙読者数は約173万人で、前回大会時の公表数約199万人より大きく減少した。

 
図7-7 党員・機関紙数の推移

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