第7章 公安の維持 

(3) 中国による対日諸工作

 中国は、我が国の科学技術先進国としての側面に着目し、社会主義現代化建設や国防現代化建設等のためには、我が国からの先端科学技術の移転や経済援助・投資が必要であると認識しているとされる。このため、多数の技術者、企業駐在員、留学生、代表団等を我が国に派遣して技術の修得に当たらせているほか、これらの来日中国人や在日公館員等を介して多面的かつ活発な情報収集活動を行うとともに、先端技術企業や防衛関連企業の関係者等に対して技術移転等の働き掛けを行うなど、我が国からの技術移転等の拡大を図っている。
 2003年(平成15年)9月、江沢民中央軍事委員会主席は、人民解放軍の兵員数を2005年(17年)までに20万人削減する決定を発表した。一方、同主席は、「限りある戦略資源を集中し、軍の情報化建設の歩みを加速する」と述べ、軍のハイテク・精鋭化に予算を集中させる方針を打ち出した。
 2004年(16年)3月の第10期全国人民代表大会第2回会議における政府活動報告では、「国防・軍隊現代化建設を強化することは、国の安全を守り小康社会を全面的に建設する上での重要な保障である」として、中国の特色ある軍事変革を積極的に推進し、国防・軍隊現代化の飛躍的な発展の実現に努めるため、ハイテク兵器・装備の開発を重点的に強化し、高度な技術を用いて全般的な防衛作戦能力を向上させるとしている。
 また、温家宝国務院総理は、国防建設と経済建設の調和のとれた発展を堅持し、軍民結合、軍民一体の方針で、国防科学技術工業の改革・調整・発展を積極的に推進するとしている。
 中国の情報収集活動は、「大量かつ長期」、「多様かつ巧妙」な手段によることが指摘されているが、これら情報活動に関連して違法行為が行われる可能性が排除できないことから、警察では、所要の諸対策に当たるとともに、違法行為に対しては厳正な取締りを行うこととしている。

 3 対日有害活動の現状と警察の対応

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