第7章 公安の維持 

(2) ロシアによる対日諸工作

 ロシアでは、2003年(平成15年)中に治安・情報機関の大規模な組織改編が行われ、連邦保安庁(FSB)や対外情報庁(SVR)の権限が拡大された。特に、情報通信技術を活用した諜報機能の拡充が図られたものとみられる。また、軍参謀本部情報総局(GRU)も他の情報機関との連携を強めており、ロシアの情報機関は機関相互の連携を図りつつ一体となって諜報活動を展開している。2004年(16年)3月の大統領選で再選を果たしたプーチン大統領も、政策決定過程における諜報活動の重要性を強調している。
 ポーランドでは、2003年(15年)12月、ロシアの情報機関に協力して諜報活動を行っていたポーランド軍中尉が逮捕された。NATO基地の再配備やEUの東方拡大に関する諜報活動を行っていたとされている。
 我が国でも、12年9月、GRUの機関員とみられる在日ロシア大使館付武官に自衛隊の秘密文書を提供していた海上自衛官を自衛隊法違反で検挙した(警視庁、神奈川)が、ロシアの情報機関は、こうした我が国の政治、軍事、経済、科学技術等に関する諜報活動のほか、我が国を活動の場とした米国、中国、北朝鮮等に関する情報収集も活発に行っており、今後も多様な諜報活動を展開していくものとみられる。
 プーチン政権下において、情報機関の影響力の拡大が続くとともに、諜報活動が活発化していることが指摘されており、警察は、所要の対策に当たるとともに、違法行為に対しては厳正な取締りを行うこととしている。

 3 対日有害活動の現状と警察の対応

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