第6章 安全かつ快適な交通の確保 

(2) 交通事故の発生状況

 〔1〕 概況
 平成15年中の死者数は7,702人で、昭和32年(死者数7,575人)以来46年振りに8,000人を下回った。また、死亡事故件数は、2年連続して8,000件を下回った。
 一方、発生件数及び負傷者数は、過去最悪であった。
 ・ 発生件数…94万7,993件(前年比1万1,272件(1.2%)増)
 ・ 負傷者数…118万1,431人(前年比1万3,576人(1.2%)増)
 ・ 死者数…7,702人(前年比624人(7.5%)減)
 ・ 15年中の交通事故発生から30日以内の死者数…8,877人(前年比698人(7.3%)減)

 
図6-4 交通事故発生件数・死者数・負傷者数の推移(昭和41~平成15年)

図6-4 交通事故発生件数・死者数・負傷者数の推移(昭和41~平成15年)
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 〔2〕 悪質・危険運転者対策を柱とする改正道路交通法令施行の効果
 飲酒運転の厳罰化等の悪質・危険運転者対策を柱とした改正道路交通法令は、14年6月1日から施行されている。
 15年中の死者数は624人(前年比7.5%減)減少しているが、これを月別でみると、15年6月以降12月までの間の月平均死者数は、14年同期と比べて33.9人減少しているのに対して、15年1月以降5月までの間の月平均死者数は、改正道路交通法令が施行される前の14年同期と比べて77.4人減少しており、減少幅が大きくなっていることがわかる。特に、15年1月以降5月までの間の飲酒運転による月平均死者数は、14年同期と比べて37.8人減少しており、死者数減少は、飲酒運転による死亡事故の減少によるところが大きいと考えられる。
 これらのことから、改正道路交通法令の施行が、15年中の死者数の減少につながっているものと考えられる。

 
図6-5 月別交通事故死者数(平成14、15年)

図6-5 月別交通事故死者数(平成14、15年)
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 〔3〕 近年死者数が減少している理由
 近年、発生件数及び負傷者数は増加傾向にあるものの、死者数は減少傾向にある。その要因としては、シートベルト着用者率が向上し事故の被害が軽減されていること、高速で走行する車両の事故が減少していること、歩行中の死傷者の違反割合が減少していることなどが考えられる。

  ア シートベルト着用者率の向上
 シートベルト着用者の致死率は、非着用者の約11分の1であり、シートベルトが事故の被害軽減に果たす役割は大きいと認められる。シートベルト着用者率が5年以降向上していることが、自動車乗車中の死者数が減少していることの一因であると考えられる。

 
図6-6 シートベルト着用有無別致死率(注)及び自動車乗車中の死傷者のシートベルト着用者率の推移 (平成6~15年)

図6-6 シートベルト着用有無別致死率(注)及び自動車乗車中の死傷者のシートベルト着用者率の推移 (平成6~15年)
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  イ 事故直前の車両速度の低下
 80キロメートル毎時を超える高速の事故での死亡事故率は、80キロメートル毎時以下の33.5倍であるが、この高速の事故件数が大きく減少していることが、自動車乗車中の死者数が減少している一因であると考えられる。

 
図6-7 一般道における危険認知速度(注)別交通事故件数の推移(平成6~15年)

図6-7 一般道における危険認知速度(注)別交通事故件数の推移(平成6~15年)
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  ウ 違反のある歩行中死傷者の構成率の減少
 15年中の歩行者の致死率を違反の有無別でみると、違反のある者は4.5%、違反のない者は1.4%となっている。近年、歩行中の死傷者は横ばい傾向にあるものの、違反のある者の構成率が減少傾向にあることが、歩行中の死者数が減少している一因であると考えられる。

 
図6-8 歩行中死傷者の違反構成率と歩行中死者数の推移(平成6~15年)

図6-8 歩行中死傷者の違反構成率と歩行中死者数の推移(平成6~15年)
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 〔4〕 交通死亡事故の発生状況

  ア 状態別にみた交通事故死者数
 ・ 自動車乗車中の死者数が3,028人で最も多く、全死者数の39.3%となっている。
 ・ 自動車乗車中の死者数の減少(前年比410人(11.9%)減)が顕著である。

 
図6-9 状態別交通事故死者数(平成14、15年)

図6-9 状態別交通事故死者数(平成14、15年)
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  イ 年齢層別にみた交通事故死者数の構成率と人口構成率の比較
 後期高齢者(75歳以上の者をいう。)、前期高齢者(65歳以上74歳以下の者をいう。)、若者(16歳以上24歳以下の者をいう。)の順に死者数の構成率が人口構成率より高くなっており、それぞれ2.7倍、1.7倍、1.3倍となっている。

 
図6-10 年齢層別にみた交通事故死者数の構成率と人口構成率の比較(平成15年)

図6-10 年齢層別にみた交通事故死者数の構成率と人口構成率の比較(平成15年)
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  ウ 状態別、年齢層別死者数の特徴
 ・ 自動車乗車中の死者数は、高齢者が若者を上回っている(23.4%)。
 ・ 自動二輪車乗車中の死者数は、若者が最も多い(37.5%)。
 ・ 自転車乗用中の死者数は、後期高齢者が最も多い(34.9%)。
 ・ 歩行中の死者数は、後期高齢者が最も多い(41.1%)。

 
図6-11 状態別、年齢層別死者数(平成15年)

図6-11 状態別、年齢層別死者数(平成15年)
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  エ 昼夜別にみた死亡事故の発生状況
 ・ 死亡事故の発生時間帯は、昼間(日の出から日没まで)が3,583件(全体の48.1%)、夜間(日没から日の出まで)が3,873件(51.9%)となっている。
 ・ 夜間の死亡事故件数は、昼間の約1.1倍である。
 ・ 昼間の死亡事故は174件(前年比4.6%減)、夜間の死亡事故は363件(前年比8.6%減)減少した。

 
図6-12 昼夜別死亡事故件数の推移(平成6~15年)

図6-12 昼夜別死亡事故件数の推移(平成6~15年)
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 1 平成15年の交通情勢

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