第5章 組織犯罪対策の推進 

(1) 全般的傾向

 平成15年中の来日外国人犯罪(刑法犯及び特別法犯)の検挙件数、検挙人員は4万615件(前年比5,869件(16.9%)増)、2万7人(前年比3,795人(23.4%)増)で、いずれも過去最多であった。過去10年間で、総検挙件数、総検挙人員はそれぞれ1.9倍、1.5 倍、刑法犯検挙件数、検挙人員はそれぞれ2.0倍、1.2倍、特別法犯検挙件数、検挙人員はそれぞれ1.6倍、1.7倍に増加した。

 
図5-19 外国人入国者数及び来日外国人検挙状況の推移(平成6~15年)

図5-19 外国人入国者数及び来日外国人検挙状況の推移(平成6~15年)
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 〔1〕 凶悪犯の検挙状況~凶悪化の進展
 15年中の来日外国人による凶悪犯の検挙件数、検挙人員は336件(前年比13件(4.0%)増)、477人(前年比124人(35.1%)増)であり、過去10年間でそれぞれ1.5倍、2.1倍に増加した。
 罪種別にみると、強盗の検挙件数は、過去10年間で2.5倍に増加し、15年中は凶悪犯総検挙数の大半(75.9%)を占めている。また、強盗検挙件数に占める侵入強盗の割合は被疑者が日本人の場合は35.0%であるのに対し、被疑者が来日外国人の場合は、全体の55.3%と高率である。

 
図5-20 来日外国人凶悪犯検挙状況の推移(平成6~15年)

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 中国人を始めとする来日外国人が集団で資産家とみられる個人の居宅やいわゆる風俗店等に押し入り、家人や従業員を緊縛して金品を強奪する侵入強盗事件が頻発するなど、手口の手荒い犯罪が多くみられた。

事例1
15年1月、横須賀市の住宅において、夫婦に暴行を加え、男性を死亡させるなどし、現金5万6,000円及び貴金属等約141万円相当を強取したとして、中国人の男2人を強盗致死罪等で逮捕した(神奈川)。

事例2
15年4月、和泉市内の郵便局において、ナイフ等を突きつけるなどして警備員及び局員を脅迫し、現金約1,600万円を強取したとして、ブラジル人の男2人を強盗罪で検挙した(大阪)。

事例3
15年6月、福岡市内で発覚した一家4人に対する殺人・死体遺棄事件に関し、中国公安当局との連携により、16年1月、中国人の男1人を強盗殺人・死体遺棄等で逮捕した。犯行後に帰国した共犯者の中国人の男2人は、中国において公安当局が身柄を拘束した(福岡)。

 〔2〕 窃盗犯の検挙状況
 15年中の来日外国人による窃盗犯の検挙件数・検挙人員は2万2,830件(前年比2,226件(10.8%)増)、4,555人(前年比160人(3.6%)増)と、いずれも過去最多であった。特に重要窃盗犯(侵入盗、自動車盗、ひったくり及びすりをいう。)の検挙件数、検挙人員の増加が顕著で、過去10年間でそれぞれ3.7倍、2.5倍に増加した。
 侵入盗の検挙件数が8,482件(前年比1,728件(25.6%)増)、検挙人員が704人(前年比46人(7.0%)増)と増加傾向が顕著であり、特に住宅を対象とした侵入盗が増加している。

 
図5-21 来日外国人窃盗犯検挙状況の推移(平成6~15年)

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 第4節 来日外国人犯罪対策

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