第5章 組織犯罪対策の推進 

(4) 暴力団員を相手方とする民事訴訟支援の動向等

 全国各地で、暴力団事務所の明渡し等請求訴訟、暴力団員の違法行為による被害に係る損害賠償請求訴訟等、暴力団員を相手方とした民事訴訟が提起されており、警察では、日本弁護士連合会民事介入暴力対策委員会等と連携しつつ、訴訟関係者の保護対策の実施、暴力団情報の提供等により訴訟を支援しており、都道府県センターも、訴訟費用の無利子貸付等の支援を行っている。
 また、対立抗争等の被害者の被害回復の充実を図ることを目的とした法律改正も行われた。第159回国会では、指定暴力団の代表者等は、凶器を使用した対立抗争等によりその指定暴力団員が他人の生命、身体又は財産を侵害したときは、これによって生じた損害を賠償する責めに任ずるとする暴力団対策法の一部を改正する法律が成立し、平成16年4月28日から施行された。

事例
7年8月、山口組傘下組織と四代目会津小傘下組織の対立抗争事件の発生に伴い、組事務所周辺において警戒勤務中であった警察官が山口組傘下組織組員から対立組織の組員と誤認されて射殺された。この事件に関して被害者の遺族が提起した損害賠償請求訴訟について、京都府警察等では、情報提供、警察官の証人出廷、保護対策の実施等により、遺族側を全面的に支援した結果、15年10月、大阪高等裁判所は、山口組組長の使用者責任を認容し、実行行為者と連帯して遺族に約8,020万円を支払うよう命じる判決を下した(上告中)。

 第2節 暴力団総合対策の推進

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