第5章 組織犯罪対策の推進 

(1) 警察庁刑事局組織犯罪対策部の設置

 平成16年4月、警察庁刑事局に組織犯罪対策部を設置し、同部に企画分析課、暴力団対策課、薬物銃器対策課及び国際捜査管理官を設置して、組織犯罪対策に関する業務を統合した。

 
図5-2 警察庁刑事局組織犯罪対策部の概要

図5-2 警察庁刑事局組織犯罪対策部の概要

 〔1〕 組織犯罪対策部の設置の背景
 従来の警察の組織犯罪対策は、暴力団犯罪については暴力団対策部門が、薬物・銃器に関する犯罪については生活安全部門が、来日外国人による犯罪についてはその罪種ごとに複数の部門が、それぞれ実施してきた。
 しかしながら、暴力団、薬物・銃器の密輸・密売組織、来日外国人犯罪組織等の犯罪組織は、相互に複雑かつ緊密に連携しつつ、犯罪を敢行している状況がうかがわれることから、これらにより組織的に敢行される犯罪の取締りを一元的に所掌し、犯罪組織の実態等を見据えた総合的な取組みを推進していくため、警察庁刑事局に組織犯罪対策部を設置することとした。
 これにより、従来、複数の部門において異なる観点から遂行されてきた組織犯罪対策に関する業務が統一的に行われるようになるとともに、全国警察の行う組織犯罪対策の中核的組織ができることとなり、組織犯罪対策をより効果的かつ強力に推進することが可能となった。

 〔2〕 組織犯罪対策部が果たすべき役割
 犯罪組織に真に打撃を与える組織犯罪対策を推進するため、警察庁の組織犯罪対策部が果たすべき役割は、主として以下の4点である。
  ア 情報の集約・分析・還元
 警察内の各部門が保有する犯罪組織に関する情報を一元的に集約し、横断的に分析を加えることにより、犯罪組織の実態やその連携状況等を把握する。また、分析の結果を都道府県警察に還元する。
  イ 対策の司令塔としての機能の発揮
 情報の分析結果を基に犯罪組織に対する戦略を立案し、警察庁の関係部局、各都道府県警察に提示する。また、金融庁、入国管理局、税関、海上保安庁等国内関係機関や海外治安機関との連絡、調整を行う。
  ウ 全国警察の基盤整備
 組織犯罪対策を推進する上で必要な要員、活動経費、装備の整備、充実等を図る。
  エ 捜査支援体制の確立
 組織犯罪対策上有効な捜査手法の高度化に努めるとともに、新たな捜査手法の導入についても検討を加える。また、これらの捜査手法について実践的な研修・学習の機会を設け、捜査員の実力の向上を図る。

 第1節 組織犯罪対策の現状と課題

テキスト形式のファイルはこちら

前の項目に戻る     次の項目に進む