第4章 犯罪情勢と捜査活動 

(3) 選挙違反

 〔1〕 第43回衆議院議員総選挙(平成15年11月9日施行)
 第43回衆議院議員総選挙における選挙期日後90日現在(平成16年2月7日現在)の公職選挙法違反の検挙件数は562件、検挙人員は790人(うち逮捕者206人)で、前回の第42回衆議院議員総選挙期日後90日の時点に比べ、検挙件数は10件(前回比1.8%増)増加し、検挙人員は585人(前回比42.5%減)、逮捕者は4人(前回比1.9%減)減少した。

事例1
当選候補者(42)は、15年10月中旬ころ、選挙運動者に対し、自己への投票及び票の取りまとめ等の選挙運動をすることの報酬として現金数十万円を供与するとともに、同月下旬ころ、同選挙運動者と共謀の上、他の選挙運動者数人に対し、自己への投票及び票の取りまとめ等の選挙運動をすることの報酬として、現金数十万円の供与をするなどした。15年11月、公職選挙法違反(買収罪等)で検挙した(愛知)。

事例2
当選候補者(48)らは、15年10月中旬ころ、選挙運動者に対し、自己への投票及び票の取りまとめ等の選挙運動をすることの報酬として現金合計数百万円を供与するとともに、同選挙運動者と共謀の上、他の選挙運動者十数人に対し、自己への投票及び票の取りまとめ等の選挙運動をすることの報酬として、現金合計百数十万円の供与をするなどした。15年11月、公職選挙法違反(買収罪等)で検挙した(埼玉)。

事例3
特別養護老人ホームの事務長(70)らは、15年11月上旬ころ、選挙管理委員会が不在者投票を行う施設として指定した同特別養護老人ホームにおいて、入居者の投票用紙を使用し、ほしいままに候補者名等を記入するなどして、投票を偽造した。15年11月、公職選挙法違反(投票偽造罪)で検挙した(和歌山)。

 〔2〕 第15回統一地方選挙(平成15年4月13日施行)
 第15回統一地方選挙における選挙期日後90日現在(15年7月26日現在)の公職選挙法違反の検挙件数は1,982件、検挙人員は3,396人(うち逮捕者629人)で、前回の第14回統一地方選挙期日後90日の時点に比べ、検挙件数は472件(前回比19.2%減)、検挙人員は639人(前回比15.8%減)、逮捕者は57人(前回比8.3%減)減少した。

事例4
道議会議員選挙の当選候補者(62)らは、15年1月ころから3月ころにかけて、選挙運動員数人に対し、自己への投票及び票の取りまとめ等の選挙運動をしたことの報酬として現金合計数十万円を供与した。15年4月、公職選挙法違反(買収罪)で検挙した(北海道)。

事例5
町消防団長である県議会議員選挙の当選候補者(49)らは、15年1月ころから4月ころにかけて、指揮監督下にある消防団員に対し、その職務上の地位を利用して、自己への投票及び票の取りまとめ等の選挙運動を依頼した。15年4月、公職選挙法違反(公務員の地位利用による選挙運動の禁止違反等)で検挙した(静岡)。

 4 政治的・構造的不正事案

テキスト形式のファイルはこちら

前の項目に戻る     次の項目に進む