第3章 生活安全の確保と警察活動 

(5) 国際的な人身取引事犯に対する警察の取組み

 近年、売春や性的サービスをさせ、その収益を搾取することなどを目的として、女性や児童をだましたり脅したりして他国に移送する人身取引(トラフィッキング)事犯が組織的に敢行され、犯罪組織の資金源となっている。このような事犯は、重大な人権侵害行為であり、その対策が国際的にも高い関心を集めている。
 警察では、入国管理局等の関係機関と連携し、水際での取締りや悪質な雇用主、ブローカーの取締りを強化し、被害者の早期保護、国内外の人身取引の実態解明を図っている。また、これに当たっては、関係国大使館、被害者を支援する民間団体等と緊密な情報交換を行っている。
 平成15年中は、国際的な人身取引事犯を51件、41人検挙し、83人の被害者を確認した。被害者の国籍は、コロンビア人(43人)、タイ人(21人)が多かった。

事例
14年12月、短期滞在の在留資格で入国した不法残留のコロンビア人女性ら2人をストリップ劇場にあっせんした日本人ブローカー(31)を出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」という。)(不法就労助長)違反、職業安定法(有害業務の職業紹介)違反で検挙した。この事件を皮切りに、18都府県警察が、15年2月、各地の入国管理局と合同で全国24箇所のストリップ劇場の一斉摘発を実施し、劇場関係者ら15人を入管法(不法就労助長)違反、公然わいせつ等の罪で逮捕・収容するとともに、ストリップ嬢等として稼働していたコロンビア人女性ら68人を保護した。被害女性の中には、500万円以上の借金を背負わされ、劇場のステージや個室での売春を強要される者もいた(警視庁、青森、宮城、福島、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、神奈川、静岡、岐阜、京都、兵庫、和歌山、広島、愛媛、鹿児島)。

 第4節 良好な生活環境の保持

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