第2章 日本警察50年の軌跡と新たなる展開 

(1) 治安回復のための3つの視点

 平成15年9月から、小泉内閣総理大臣は、「世界一安全な国、日本」の復活を目指し、全閣僚を構成員とする「犯罪対策閣僚会議」を開催している。この会議で示された「治安回復のための3つの視点」は、個別の施策を立案・実施・評価するための視座を提供するだけでなく、総合的で包括的な犯罪対策を実現するための理念としても機能している。

治安回復のための3つの視点

〔1〕 国民が自らの安全を確保するための活動の支援
 良好な治安は、警察のパトロールや犯罪の取締りのみによって保たれるものではなく、国民一人一人が地域において安全な生活の確保のための自発的な取組みを推進することが求められている。「安全確保のために何かしたい」という住民の思いを具体的な行動に昇華させていくことが重要であり、国は、情報の提供や防犯設備への理解の普及等を通じ、住民の自主的な取組みを支援していくことが必要である。

〔2〕 犯罪の生じにくい社会環境の整備
 犯罪の取締りのみならず、犯罪の抑止に直接・間接に有効であると認められる取組みを推進し、犯罪の生じにくい社会環境を整備することが重要である。地域の連帯や家族の絆を取り戻し、犯罪や少年非行を抑止する機能を再生すること、道路、公園、建物等の設計に防犯の視点を織り込むこと、治安に及ぼす影響を踏まえた外国人受入れ方策を検討することなど、あらゆる観点から多角的に推進することが重要である。

〔3〕 水際対策を始めとした各種犯罪対策
 国際化・高度化する犯罪に的確に対応していくためには、従前以上に「省庁の壁」を超えた一層の連携と情報の有効活用が求められており、そのための枠組みの検討も視野に入れる必要がある。特に、水際対策は、的確な出入国管理が不可欠な上、その成否は関係省庁間の協働及び外国機関との連携が鍵を握っているため、国による横断的な取組みが特に期待される分野である。

 第3節 「世界一安全な国、日本」の復活を目指して

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