第2章 日本警察50年の軌跡と新たなる展開 

(2) 国際化の進展に伴う警察の対応

 社会の国際化が進むにつれ、近隣諸国との賃金格差を背景に不法就労事案が増加し、外国人の一部は犯罪組織を形成して凶悪犯罪や侵入盗等を敢行するようになった。来日外国人の刑法犯は、統計を開始した昭和55年には検挙件数が867件であったが、平成6年には1万3,321件と約15倍の増加を示した。他方、サミットや国際連合等でも国際組織犯罪対策が重要な政策課題として取り上げられ、我が国も国際社会への貢献が求められるようになった。
 このような情勢に対処するため、警察は、昭和60年に警察大学校国際捜査研修所を設置して国際捜査官の育成を進めた。また、平成6年には警察庁長官官房に国際部が新設され、国際協力業務や来日外国人犯罪対策の推進体制が強化された。さらに、ICPO、外国捜査機関等との情報交換や捜査共助を強化し、国際組織犯罪対策に関する各種の国際的枠組みに積極的に参画したほか、発展途上国への技術協力を行うなど国際貢献を進めた。

 
集団密航の検挙現場

集団密航の検挙現場

 第2節 日本警察50年史

テキスト形式のファイルはこちら

前の項目に戻る     次の項目に進む