第2章 日本警察50年の軌跡と新たなる展開 

(1) 世論の高まりを受けた暴力団対策法の制定

 戦後、博徒や的屋といった古くからの暴力集団に加え、愚連隊という新たな暴力集団が生まれた。これらは、闇市の支配、薬物の密売等により勢力を拡大し、昭和30年代以降、「暴力団」と総称された。
 警察は、戦後一貫して暴力団の取締りに重点を置き、中枢幹部に的を絞った取締り(頂上作戦)等を実施し、構成員を大幅に減少させるなどの成果を挙げた。しかし、暴力団は、活動を一層多様化、巧妙化させて多数の民事介入暴力事案を引き起こすとともに、四代目山口組と一和会の対立抗争(60年~)を始めとする対立抗争を繰り返すに至り、巻き添えで多数の市民や警察官が死傷したことから、暴力団対策の強化を求める世論が大きな盛り上がりをみせた。
 そこで、平成3年に暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律が制定され、暴力的要求行為に対する中止命令等によって暴力団員の行為がより広範囲に規制されることとなった。また、4年には警察庁刑事局に暴力団対策部が新設され、暴力団総合対策の推進体制が大幅に強化された。

 
住民による暴力団事務所の撤去運動

住民による暴力団事務所の撤去運動

 第2節 日本警察50年史

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