第2章 日本警察50年の軌跡と新たなる展開 

(3) 犯罪被害者対策の推進

 49年に発生した三菱重工ビル爆破事件(死者8人、負傷者380人)では、同社の社員や付近の通行人等何の落ち度もない多数の者が死傷し、その被害者の間でも、労働者災害補償保険法による公的給付を受ける者と何らの補償もされない者とで著しい不均衡が生じた。このため、55年に犯罪被害者等給付金支給法が制定され、国は、犯罪行為で不慮の死を遂げた者の遺族又は障害が残った者に対して、給付金を支給することとした。同法は、犯罪被害者の救済を図る我が国初の立法であり、重傷病も支給対象とするなどの法改正(平成13年)を経て、15年末までの23年間に6,132人に対して約143億円の給付金を支給し、現在に至るまで、犯罪被害の軽減に重要な役割を果たしてきている。
 また、シンポジウムや犯罪被害者の実態調査(3、4年)を通じて精神的被害を軽減することの重要性が指摘されたことから、警察庁において「被害者対策要綱」を策定し(8年)、被疑者の処分状況等を被害者に連絡する制度の整備、被害者の相談やカウンセリングに当たる窓口の設置等を進めるとともに、警察庁犯罪被害者対策室の新設(8年)や被害者支援ネットワークの設立(10年)により被害者対策の推進体制を強化している。

 
犯罪被害給付制度の広報用ポスター

犯罪被害給付制度の広報用ポスター

 第2節 日本警察50年史

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