第2章 日本警察50年の軌跡と新たなる展開 

(1) 戦後最悪となった少年非行に対する取組みの強化

 経済が安定成長期に入り、国民生活が多様化すると、核家族化や規範意識の低下が進行した。こうした社会環境は少年にも影響し、万引き、自転車盗等の初発型非行はもとより、集団暴走、校内暴力、シンナーの乱用等の非行が多発し、深刻な社会問題となった。そして、56年に刑法犯検挙人員(触法少年の補導を含む。)の半数以上が少年となり、58年には刑法犯で検挙又は補導された少年の過半数を中学生が占めるなど、少年非行は戦後最悪の水準に達した。
 警察は、51年、警察庁保安部に少年課を設置して体制の強化を図り、少年非行がいよいよ深刻となった57年には、少年非行総合対策要綱を策定して非行防止対策を総合的に推進するとともに、非行防止対策推進連絡会議に参画して関係機関との連携を強化した。法制面では、53年、暴走族対策のため、道路交通法に共同危険行為等の禁止規定が新設され、59年には風俗営業等取締法が改正され、少年の健全育成等が法の目的として明記されるとともに、ゲームセンター、アダルトショップ等が新たに規制対象とされた。

 
暴走族によるゼロヨンレース

暴走族によるゼロヨンレース

 第2節 日本警察50年史

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