第1章 地域社会との連帯 

(2) 少年警察ボランティア活動

 警察では、ボランティアを少年の健全育成のための重要なパートナーと位置付け、平成16年4月現在、全国で約5万8,000人のボランティアを次のとおり委嘱しており、協力しながら街頭補導活動その他少年の健全育成のための諸活動を推進している。

 
少年警察ボランティア活動

 また、警察では、少年とのふれあいの場として、警察署の道場を開放して、地域の少年に柔道や剣道の指導を行う少年柔剣道教室を全国で開催し、職員が少年とともに汗を流している。15年中は750警察署で、約4万4,000人の少年が参加した。

事例1
15年8月、ボランティアが中心となり、暴走族その他の非行集団からの離脱や立直りを支援するため、非行集団の構成員やその離脱者等が参加するサッカーチームを結成した。このチームは、地域住民や大学生の協力を得て、毎週2回、約2時間ずつの練習を行っており、県警察のサッカーチームとの試合も行った。今後は、地域のサッカーリーグに加盟する予定である(広島)。

事例2
警察の指導によって暴走族が解散した後、その構成員であった者が、14年4月、ボランティア団体を結成し、駅舎、通学路等の清掃活動、福祉バザーの開催、保育園の運動会の設営作業等の奉仕活動を行うようになった。また、この団体の代表者は、市の暴走族根絶推進協議会の下で暴走族加入阻止・離脱支援促進アドバイザーとして委嘱され、活動している(福岡)。

 
ボランティア活動をする少年(福岡)

ボランティア活動をする少年(福岡)

事例3
14年10月、校内で暴力をふるい、喫煙や飲酒をするなどの問題行動が目立った1人の中学3年生を立ち直らせるため、少年補導員が中心となり、飲食店主、民生委員、教諭から成る少年サポートチームが編成された。そこで、面接指導を行うほか、飲食店の手伝いをさせ、汗を流して食事を作り、他人に喜ばれることの充実感を体験させるなどの取組みを行った結果、少年は、問題行動をすることが減り、また、進路を真剣に考えるようになり、卒業後は自己の適性に合った職業を得ることができた(神奈川)。

コラム12 少年警察ボランティアの声
 (社)全国少年補導員協会が15年に行ったアンケート調査・インタビューによると、少年警察ボランティアから、「少年補導員として活動しても、少年本人とその家族が無関心なら、いくら頑張っても、無駄なケースが多い」、「青少年問題は地域との連携がなくてはできない。学校、地域、行政の横のつながりが大事だ」といった問題点が指摘されており、日頃、様々な問題を抱える少年と接しているボランティアが、少年非行に対する地域社会全体の意識の不足を問題視していることがうかがえた。

 第2節 治安回復に向けた地域社会との協働

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