第1章 地域社会との連帯 

(4) 犯罪防止に配慮した環境設計

 警察では、道路、公園等の公共施設や住居の構造、設備、配置等について、犯罪防止に配慮した環境設計を行うことによる、犯罪被害に遭いにくいまちづくりを推進している。
 警察庁では、「道路、公園、駐車・駐輪場及び公衆便所に係る防犯基準」及び「共同住宅に係る防犯上の留意事項」を定め、これらを含めた「安全・安心まちづくり推進要綱」を平成12年2月に制定し、都道府県警察に示した。

 
道路、公園、駐車・駐輪場及び公衆便所に係る防犯基準(抄)及び共同住宅に係る防犯上の留意事項(抄)

 警察では、これらに基づき、次のような施策を講じている。

 〔1〕 街頭緊急通報システム(スーパー防犯灯)の整備
 街頭緊急通報システム(スーパー防犯灯)とは、非常用赤色灯、非常ベル、防犯カメラ、インターホン等を備えた防犯灯で、緊急時には警察への通報や映像の伝送をすることができるものである。13年度及び14年度には国費によるモデル事業として、15年度からは国からの補助事業として整備しており、16年3月末現在の整備数は、全国23地区で計283基である。このほか、都道府県における独自の事業として、全国8地区で計111基を整備している(東京、京都、大阪、香川、山口)。
 このシステムを使用した緊急通報により、公然わいせつ事件や傷害事件の被疑者を逮捕した例もあり、事件の早期解決にも役立っている。

 〔2〕 子ども緊急通報装置の整備
 子ども緊急通報装置とは、非常用赤色灯、非常ベル、通報者撮影カメラ、インターホン等を備えた装置で、街頭に設置され、緊急時には警察への緊急通報をすることができるものである。14年度に国費によるモデル事業として、各都道府県につき1通学区・7基ずつ、計329基を整備した。このほか、大阪府が独自の事業として、6地区で計27基を整備している。
 不審者に抱きつかれた女性がこの装置を使って緊急通報したため不審者がそのまま逃走した例もあり、犯罪被害の防止に役立っている。

 
街頭緊急通報システム(スーパー防犯灯)

街頭緊急通報システム(スーパー防犯灯)

 
子ども緊急通報装置

子ども緊急通報装置

 〔3〕 街頭防犯カメラの整備
 警視庁、石川県警察では、繁華街に、街頭防犯カメラの整備を行っており、警視庁では14年度に計50基を、石川県警察では15年度に計33基を整備した。

 〔4〕 「防犯モデルマンション登録(認定)制度」
 防犯に配慮した構造、設備を有するマンションについて、防犯モデルマンションとして登録(認定)する制度を整備・運用している(北海道、静岡、京都、大阪、広島、大分)。
 広島県では、11年9月から、委嘱を受けた一級建築士が審査を行い、その結果を受けて(社)広島県防犯連合会が認定をする「防犯モデルマンション登録制度」を、全国に先駆けて整備しており、15年12月末現在で85件が登録されている。

 〔5〕 「防犯モデル駐車場登録制度」
 自動車盗や車上ねらい等の多発を受け、防犯カメラ及びモニターの設置や一定以上の照度の確保といった審査基準を満たす、防犯上優れた駐車場を認定する防犯モデル駐車場登録制度を整備・運用している(京都、大阪、大分)。

コラム11 関係省庁協議会による「防犯まちづくりの推進について」の策定
 内閣官房都市再生本部を事務局とし、警察庁、文部科学省及び国土交通省によって構成される「防犯まちづくり関係省庁協議会」では、防犯まちづくりの在り方について、仙台市長町地区ほか5地区をモデル地区に設定して、調査検討を行った。15年7月、この調査検討結果から、市街地を「まちなかの商住混在地区」、「大規模住宅団地を含む地区」、「密集市街地」、「郊外住宅地区」、「都市開発事業が予定されている地区」の5類型に分け、それぞれの特性に応じた防犯対策や、関係省庁ごとの具体的な施策等を「防犯まちづくりの推進について」として取りまとめた。

 第2節 治安回復に向けた地域社会との協働

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