第1章 地域社会との連帯 

(2) 防犯相談

 地域住民や事業者等の中には、犯罪被害に遭うことを不安に感じ、有効な対策を講じたいと考えているが、十分な知識やノウハウがないため、困っている者も多い。このような知識やノウハウを有している警察では、それを広く国民に伝え、自主的な防犯活動を促進するため、犯罪の発生状況、侵入手口等の分析結果をもとにして、
 ・ ひったくり、空き巣、強盗等の被害に遭わないようにするための方策
 ・ 錠前、防犯ガラス、防犯ブザー等の防犯設備や防犯機器
 ・ 防犯灯の設置等、犯罪の防止に配意した公共空間・住宅の環境設計
に関する相談に対応している。

事例
広島県警察では、錠前の付け替え等の指導や防犯機器の活用に関する相談活動を推進しているほか、優良な防犯機器の普及促進を図っている特定非営利活動法人広島県生活安全防犯協会と協力し、イベント会場等で最新の防犯機器や防犯グッズを展示するコーナーを設け、そこで来場者からの防犯相談を受け付けている。来場者からは、「防犯ブザーはどこで購入できるのか」、「PTAの会合でチラシを配りたい」、「防犯機器の正しい使い方が分かった」といった質問・感想が寄せられている。

 
イベント会場での防犯機器の紹介(広島)

イベント会場での防犯機器の紹介(広島)

コラム8 生活安全アドバイザー制度
 神奈川県の一部の市町村では、条例等に基づき、一定規模以上の建築や開発等を行う際に建築主と警察が防犯面での事前協議を行う制度が導入されている。このような制度を効果的に運用するため、神奈川県警察では、平成14年6月から必要な知識・経験を備えた警察官を「生活安全アドバイザー」に指定し、建築主に対する助言・指導を行わせるなどしている。15年12月末現在、53人の警察官を指定し、県下全警察署に配置している。なお、そのうち7人は、防犯設備士の資格を有している。

コラム9 東京都安全・安心まちづくり条例の制定
 東京都では、「東京都安全・安心まちづくり条例」を15年7月に制定し(同年10月施行)、住宅の防犯性の向上に関して次のような規定を整備した。
 ・ 犯罪の防止に配慮した構造、設備等を有する住宅の普及
 ・ 防犯上の指針の策定(知事と公安委員会が共同で策定)
 ・ 建築確認申請時における警察署長による情報提供及び技術的助言
 ・ 建築事業者、所有者等の上記指針に基づく措置に関する努力義務
 ・ 建築主、所有者等に対する情報提供、技術的助言等

コラム10 「地方公共団体の防犯対策補助金制度の実施」
 埼玉県の朝霞市では、14年4月から、「朝霞市防犯対策補助金交付制度」を設け、住民の申請に応じて、一般住宅及び共同住宅の玄関錠・補助錠の交換・取付けに対して費用の2分の1(限度額5,000円)を補助している。

 第2節 治安回復に向けた地域社会との協働

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