(3)交通事故事件捜査の科学化・合理化  ち密かつ科学的な交通事故捜査を求める国民の声を踏まえ,衝突実験に基づく事故解析等の専門的教養を行う交通事故鑑定専科等により,高度な知識技能を有する交通捜査員の養成を図っている。  また,交通事故が依然として多発しているなかで,交通事故当事者の負担軽減や迅速な事故処理による円滑な交通流の早期回復等の要請にこたえるため,交通事故自動記録装置等の各種捜査支援システムの効果的活用,一定の要件を満たす軽微な物件事故について現場見分を省略する現場見分省略制度の積極的な運用等に努めている(図5-28)。 交通事故鑑定専科 図5-28 交通事故自動記録装置概念図 〈交通事故自動記録装置の概要〉  この装置は,センサー部(ビデオカメラ,マイク)及び制御機(音源識別部,画像メモリー,VTR)から構成されており,交差点内で交通事故が発生した場合,衝突音やスリップ音等を感知して,その前後の状況を自動的に記録するものである。  この装置により,事故当時の車両の走行状況,信号現示等がVTRに記録され,客観的な資料に基づく事故状況の早期把握が可能になるとともに,事故当事者の現場立会い時間の短縮や事故に伴う交通渋滞の早期解消が図られている。 交通事故自動記録装置による撮影画像の連続写真 事例1  平成14年8月,信号が設置された交差点において軽自動車と原動機付自転車とが出合い頭に衝突した交通事故で,双方とも青信号で同交差点に進入した旨主張していたが,交通事故自動記録装置の録画画像により,原動機付自転車の側が青信号であったことが証明された(神奈川)。 事例2  14年1月,青信号で交差点を右折した大型ダンプカーが同じく青信号で横断中の歩行者に衝突し,重傷を負わせた交通事故で,歩行者が横断歩道上を通行していたか否かにつき,大型ダンプカーの運転者と歩行者との間で供述が異なっていたが,交通事故自動記録装置の録画画像により,歩行者が横断歩道上を通行していたことが証明された(岡山)。