第9章 公安委員会制度と警察活動のささえ 

第2節 適正な職務執行の確保

適正な警察活動の確保

(1)監察

1)警察における監察
 警察における監察は,能率的な運営及び規律の保持に資するために行われるものであり,警察庁及び都道府県警察が行う監察については,平成12年に国家公安委員会が制定した監察に関する規則により,警察庁長官,警視総監及び道府県警察本部長は,年度ごとに監察を実施するための計画を作成し,国家公安委員会又は都道府県公安委員会に報告するとともに,四半期ごとに少なくとも1回,その実施の状況をそれぞれ国家公安委員会又は都道府県公安委員会に報告することとされている(図9-2)。

 
図9-2 監察の仕組み

図9-2 監察の仕組み

 警察庁長官が作成した平成14年度監察実施計画では,全国統一の監察実施項目として,
 ・交通街頭活動,地域警察活動及び捜査活動における殉職・受傷事故防止対策の推進状況
 ・交通違反・事故の捜査管理の徹底
 ・銃器・薬物事犯の捜査管理の徹底
 ・捜査管理及び証拠物件の保管管理の徹底
等を,管区警察局においても,管区警察局独自の監察実施項目として,
 ・留置管理業務の適正な実施
 ・職務倫理教養と身上把握の推進状況
等を定めている。

2)公安委員会による監察の指示等
 12年の警察法改正により,公安委員会による警察の管理機能を強化させるため,国家公安委員会及び都道府県公安委員会の監察に関する指示等についての規定が設けられた。
 具体的には,国家公安委員会は警察庁に対して,都道府県公安委員会は都道府県警察に対して,監察について必要があると認めるときは,具体的又は個別的な指示をすることなどができることとされた。

事例
 13年4月,神奈川県公安委員会は,不祥事案の再発防止の一層の徹底を図るため,人事管理,教育,身上把握,組織の士気高揚等の諸事項について監察を行い,その結果を報告するように神奈川県警察に指示した。同県警察においては,その指示に従って監察を実施し,その結果を同年9月に同公安委員会に対して報告した上,その後1年の進ちょく状況について,14年10月に報告した。

 

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