第4章 暴力団総合対策の推進 

(4)暴力団を相手とする民事訴訟支援の動向

 全国各地で,暴力団事務所の明渡しや使用差止めの請求訴訟,暴力団員の違法行為による被害に係る損害賠償請求訴訟等,暴力団を相手方とした民事訴訟が提起されており,警察は日本弁護士連合会民事介入暴力対策委員会等とも連携しつつ積極的に訴訟支援を行っている。なかでも,暴力団犯罪の被害者が,当該犯罪等の実行行為者のみならず,その所属する暴力団の組長等の使用者責任や共同不法行為責任を追及する損害賠償請求訴訟については,被害回復に寄与することはもとより,暴力団組織に打撃を与えている。
 警察は,危害防止の観点から関係者に対する保護対策を徹底するとともに,暴力団情報の積極的な提供を図っている。

事例
 山口組傘下組織組事務所として使用されている建物の家主の関係者から,「貸した住宅がいつの間にか暴力団事務所になっているので,追い出してほしい」旨の相談を受けたことから,佐賀県警察,弁護士会,同県暴力追放運動推進センターとの三者協議会において,当該組事務所撤去の連携チームを結成し,占有移転・占有名義変更禁止の不動産仮処分の申請及び家屋明渡請求訴訟を提起して,当該組事務所を撤去することに成功した。

 

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