第2章 生活安全の確保と警察活動 

(1)ハイテク犯罪の情勢

 ハイテク犯罪の主な特徴としては,匿名性が高いこと,こん跡が残りにくいこと,不特定多数の者に被害が及ぶこと,地理的・時間的制約が少ないこと,低コストで犯罪を行えることなどが挙げられる。
 平成14年中のハイテク犯罪の検挙件数は過去最高の1,039件にのぼっており,なかでもネットワーク利用犯罪が前年に比べ34.6%増加している。特に,児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(以下「児童買春・児童ポルノ禁止法」という。)違反は408件で,前年に比べて約1.7倍,青少年保護育成条例違反は70件で7倍となっているほか,インターネット・オークション等を利用した詐欺事件の検挙も増加している(図2-13,表2-13)。

 
図2-13 ハイテク犯罪の検挙件数の推移(平成10~14年)

図2-13 ハイテク犯罪の検挙件数の推移(平成10~14年)
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表2-13 ハイテク犯罪の検挙件数の内訳(平成13,14年)

表2-13 ハイテク犯罪の検挙件数の内訳(平成13,14年)
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事例1
 無職者(35)らが,他人の口座から金を不正に得る目的で,インターネット・カフェ等に設置したパソコン端末から,キーボードによる入力の履歴を記録するプログラムにより不正にID・パスワードを収集し,外資系銀行のインターネットバンキングサービス利用者の口座に係るインターネット取引用のID・パスワードを窃用して不正アクセスした上,自己が開設した架空名義の口座に総額約1,600万円の送金操作をし,引き出した。15年3月,不正アクセス禁止法違反,電子計算機使用詐欺罪,窃盗罪等で検挙した(警視庁)。

事例2
 大学生(20)が,インターネット・オークションを利用して金をだまし取る目的で,他人のID・パスワードを使用してオークションサービスのサーバに不正アクセスし,架空の出品を行い,落札者44人から総額約240万円を,インターネットを利用して購入した他人名義の銀行口座に振り込ませてだまし取った。14年1月,不正アクセス禁止法違反及び詐欺罪で検挙した(茨城,栃木)。

事例3
 会社員(32)が,勤務先で使用していた地図測量ソフトを無断で複製した上,インターネット上のFTPサイト(ファイル公開用サイト)に当該ソフトを蔵置し,不特定多数の者がダウンロードできる状態にした。14年9月,著作権法違反で検挙した(宮城)。

 

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