第1章 組織犯罪との闘い 

(3)国際的なマネー・ローンダリング対策

ア 金融活動作業部会(FATF)の活動

 FATF(Financial Action Task Force)は,1989年(平成元年)のアルシュ・サミットで設置が決定されたマネー・ローンダリング対策に関する国際協力を推進するための国際フォーラムであり,2003年(15年)6月末現在,我が国を含む31か国・地域及び2国際機関が参加している。
 FATFでは,1990年(2年),法執行,刑事司法,金融規制の分野において各国がとるべきマネー・ローンダリング対策を示した「40の勧告」を策定・公表し,その後,1996年(8年)にはマネー・ローンダリングの前提犯罪の拡大等の改訂を行ったが,近年,マネー・ローンダリングの技術がより巧妙化・進化したことや,2001年(13年)9月の米国同時多発テロ事件以降,FATFの対象分野にテロ資金対策が含まれたこと等にかんがみ,2003年(15年)6月,同勧告をより包括的なマネー・ローンダリング対策及びテロ資金対策の指針とすべく,再度改訂を行った。
 なお,米国における同時多発テロ事件直後の2001年(13年)10月には,「テロ資金供与に関するFATF特別勧告」を策定・公表している。
 また,FATFでは,2000年(12年)以降,マネー・ローンダリング規制の「抜け穴」をふさぐため,金融機関に対する規制が不十分で国際的な司法・捜査協力に非協力的な国・地域(表1-14)を特定し,金融機関がこれらの国・地域との間の取引について特別の注意を払うよう勧告している。
 警察庁は,FATF関連の各種会議における協議に積極的に参加するなど,その活動に貢献している。

 
表1-14 マネー・ローンダリング対策非協力国・地域

表1-14 マネー・ローンダリング対策非協力国・地域
Excel形式のファイルはこちら


 
FATF全体会合(ベルリン)

FATF全体会合(ベルリン)

 

テキスト形式のファイルはこちら

前の項目に戻る     次の項目に進む