第1章 組織犯罪との闘い 

エ マネー・ローンダリング罪

 ドイツ刑法第261条第1項は,他人の違法行為から生じた客体を隠匿し,その由来を偽装し,又はその由来の捜査,その客体の発見,はく奪,没収若しくは保全を妨げ,若しくは危険にさらした者は,3月以上5年以下の自由刑又は罰金に処することとし,同条第2項は,他人の違法行為から生じた客体を自ら取得し,若しくは第三者に取得させ又は客体を取得した時点でその由来を知ったにもかかわらず,これを保管し,若しくは自己若しくは第三者のために利用した者も同様としている。同法第261条第1項及び第2項は,未遂罪も処罰され(同条第3項),特に重い事情があるときは,6月以上10年以下の自由刑が科される(同条第4項)。また,客体が他人の違法行為に由来することを知らなかったことについて重過失がある場合は,2年以下の自由刑又は罰金が科される。
 これらのマネー・ローンダリング罪の前提犯罪は,
 ・重罪(同法第12条は,刑の下限が1年以上の自由刑である犯罪を「重罪」としている。)
 ・麻薬関連法規の一部
 ・横領,詐欺,補助金詐欺,背任,文書偽造,贈収賄等の軽罪のうち,これらの犯罪を連続的に実行するために結びついた団体の構成員によって職業的に行われたもの
 ・同法第129条に規定する犯罪団体の構成員によって行われた軽罪
とされている。

 

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