第1章 組織犯罪との闘い 

(2)英国

 英国における組織犯罪としては,不正な薬物や銃器の取引,人の密輸,詐欺,マネー・ローンダリング,児童ポルノ等が挙げられ,そのなかには英国以外の国の出身者らが関わっているものも多くみられ,社会に深刻な脅威を与えている。ほとんどの組織犯罪は経済的利益を求めて行われており,その活動範囲は裏社会に止まらず,合法的なビジネス活動の形態をとることも少なくない。こうした合法的な活動が将来の犯罪活動を容易にしていることも多く,例えば,密輸や詐欺を行うときには合法的なビジネス活動としての外観等が犯罪の隠れ蓑(みの)になっている。
 こうした状況に対応するため,英国においては,組織犯罪に関する情報の収集と分析に力を入れており,そのための組織として,NCIS(National Criminal Intelligence Service)が設置されている。NCISは,1992年(平成4年)にThe National Drugs Intelligence Unitsとして内務省に設置されたが,現在は,特定省庁に属さない組織となっている。NCISは重大犯罪や組織犯罪が英国にもたらす脅威を評価し,その結果を活用して犯罪の取締りや防止を優先的に行う分野を決めて関係機関が取り組むこととしている。

 

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