第1章 組織犯罪との闘い 

第2節 我が国における組織犯罪対策の軌跡

(1)麻薬新条約の締結,麻薬特例法の制定及び警察庁薬物対策課の設置

 組織犯罪対策に関する国際的な対策の必要性は,はじめに,薬物の不正取引の分野で高まりをみせ,昭和63年には,麻薬及び向精神薬の不正取引の防止に関する国際連合条約(以下「麻薬新条約」という。)が採択された。警察庁では,同年,刑事局保安部に薬物対策課を新設して,規制薬物の不正取引に関する取締り体制等を強化した。その後,我が国は,平成元年12月,麻薬新条約に署名し,3年10月,同条約の批准に必要な国内法整備の一環として,麻薬特例法を制定した。警察では,薬物対策部門を中心として,同法の積極的な適用に努め,規制薬物の不正取引の分野における組織犯罪の摘発に力を注いできた。
 麻薬特例法は,薬物犯罪収益等に係るマネー・ローンダリングの処罰,薬物犯罪収益等の没収・追徴等,組織犯罪捜査に重要な役割を果たす規定を数多く含んでおり,我が国の組織犯罪法制として先駆的な存在となった。

 

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