第1章 組織犯罪との闘い 

(1)暴力団員と来日外国人が共犯関係を構築した経緯

 暴力団員と来日外国人の接点は,我が国の国際化の進展の影響で,あらゆる日常的な場面において認められる。共犯事件に関する調査においては,暴力団員等と来日外国人が共犯関係を構築した経緯として,以下のようなものが見受けられた。
 ○テキ屋を資金源の一つとしている暴力団員が,日当稼ぎのためにテキ屋の手伝いをしていた中国人と親交を持ち,当該中国人又はその者から紹介された中国人と共犯関係を構築するに至った。
 ○暴力団員及びロシア人の双方が,暴力団員の所属する暴力団の縄張内にあるロシア人が多く集まる飲食店に客として来店した際に知り合いとなり,何度か飲食を共にする過程で相互に共犯関係を構築するに至った。
 ○日本に永住した中国残留孤児の子息である暴力団員が,他の暴力団員と不良中国人グループとを結びつけ,双方が共犯関係を構築するに至った。
 ○暴力団幹部が,韓国からの留学生を配下の暴力団員とし,その者に指示して韓国人の友人数人を集めて,共犯関係を構築するに至った。
 ○日本人の不動産ブローカーが,取引先の中国人から犯行を持ちかけられ,知人の暴力団員を紹介したところ,当該暴力団員と中国人が共犯関係を構築するに至った。
 ○暴力団員が商用で中国に渡航した際,常習的に集団密航を行っているとみられる中国人と面識を持ち,帰国後,当該中国人から紹介を受けたと自称する在日中国人から,集団密航の手伝いをするように依頼され,共犯関係を構築するに至った。

 

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