第1章 組織犯罪との闘い 

3 銃器情勢の変質

 我が国の治安水準は,これまで諸外国に比べて高いといわれてきたが,銃器に対する厳格な規制により,市民生活の中に銃器が基本的に存在しないということも,その要因の一つであった。
 しかし,過去10年間において,銃器発砲事件の発生件数は高水準で推移し,銃器使用事件の件数は増加する傾向にある一方で,けん銃の押収丁数は平成7年をピークに年々減少するなど,警察及び関係機関等の努力にもかかわらず,現在,銃器情勢は悪化傾向にあると言っても過言ではない。
 銃器情勢の悪化の要因としては,暴力団等の犯罪組織が手口を巧妙化させつつ銃器の不正流通等に関与していること,暴力団等の犯罪組織により実際に銃器が使用される事件が多数発生していることなどが挙げられる。
 ここでは,過去10年間の銃器情勢について総括するなかで,暴力団等の犯罪組織が果たしている役割について分析することとする。

 

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