第4章 地域社会と警察活動

 近年における社会情勢の変化は、伝統的な地域社会(コミュニティー)を変貌(ぼう)させつつあり、これに伴い、警察自体の在り方や地域住民の要望も大きく変化している。警察では、交番、駐在所等の機能の強化を図るとともに、地域警察官の地域住民の期待にこたえた各種の防犯活動や相談業務を積極的に推進するなど、幅広い活動を展開しており、地域住民が安心できる安全で快適な住環境(アメニティー)づくりの一翼を担っている。
 事件、事故等が発生した場合には、110番通報や通信指令の機能を活用して、迅速、的確な対応を行っているほか、水上警察や鉄道警察等の活動を通じて、あらゆる地域における人命の救助や犯人の検挙等の活動を行っている。
 さらに、安全な地域社会を形成し、維持するため、オートバイ盗、自転車盗等の住民にとって身近な犯罪に重点を置いた防犯活動を推進するとともに、地域住民による自主防犯活動の推進、各種の民間企業、団体との連携による防犯活動の推進等を図っている。
(注) 本白書では、警察法等で規定されている「派出所」と同じ意義のものとして、国民の間で日常的に呼称されている「交番」の語を使用している。

1 地域住民とともにある警察活動

 地域警察官は、地域住民の日常生活の安全と平穏を守るため、地域社会を活動の場として、直接、地域住民と接しながら、昼夜を分かたぬ警戒体制を保持し、事件発生時における犯人の検挙、街頭でのパトロールや各家庭、事業所等への巡回連絡等を通じて、犯罪の予防、交通指導取締り、少年補導、迷い子や酔っ払いの保護、困りごと相談等地域住民の要望にこたえた幅広い活動を行っている。
(1) 地域の実情に即した地域警察活動
ア 地域を守る交番、駐在所
 交番、駐在所(以下「交番等」という。)は、地域警察活動の拠点であるとともに、警察の総合出先機関としての役割を果たしている。
 交番は、平成4年4月現在、事件、事故等警察事象が比較的多い都市部を中心に全国に約6,500箇所設置されており、原則として1当務3人以上の交替制勤務の警察官によって運用され、一定の地域を受持ち区域(所管区)とし、その地域の第一次的な治安維持機関としての機能を果たしている。
 また、駐在所は、4年4月現在、主として町村部を中心に全国に約8,800箇所設置されており、警察官が、勤務場所と同一の施設内に居住しながら、地域の治安の第一次的な責任者として常時警戒に当たるとともに、勤務時間内はもとより、それ以外の時間においても事件、事故、急訴、住民の要望等に素早く対応している。
 交番等において住民と接する活動を行う地域警察官には、常に住民から様々な困りごと相談、要望等が寄せられている。警察では、これらの要望等を警察活動に反映させるとともに、地域に溶け込む活動を推進し、住民にとって不安感の強い犯罪、交通事故に直結するおそれのある悪質、危険な違反等に重点を置いて、検挙、取締り等の活動に当たっている。
 このように、交番等は、住民にとって最も身近な警察機関であり、そのシンボルである「赤い門灯」は、地域住民や行き交う人々の安心感のよりどころとなっている。
イ 地域住民に安心感を与える活動
(ア) 身近な相談の機会、巡回連絡
 巡回連絡は、地域警察官が受持ち区域の家庭、事務所等を訪問し、防犯、防災等についての指導、住民の困りごと、要望等の聴取に当たる活動である。
 巡回連絡の際に地域住民から受けた困りごと、要望等の多くは、交番等の地域警察官の指導、助言により解決しており、交番等の地域警察官だけでは対応できないものについては、交通、防犯、少年、刑事等の担当係と連携し、警察だけでは対応できないものについては、他の関係機関を紹介するなどして解決を図っている。また、警察では、巡回連絡の際に家族構成や非常の場合の連絡先等を尋ねており、災害や事故の発生時における緊急連絡や事故防止の指導連絡等に役立てている。
 最近は、共働き等による昼間不在家庭が増加していることから、地域警察官は、休日や夕方に巡回連絡を実施するなどして、住民とのコミュニケーションの確保を図っている。

(イ) パトロール
 交番等の地域警察官は、無線機を携帯して常に警察署やパトカーと連携を取りながら、不審者に対する職務質問を行うなどきめ細かなパトロールを行っている。また、全国の警察本部や警察署に配置された約2,600台のパトカー、交番等に配置された約1,400台のミニパトカーは、管内のパトロールや警戒活動を行い、住民の日常生活において発生が予想される種々の事案に備えるとともに、事件、事故の発生時には初動措置を迅速に行うなど、「動く交番」として活躍している。
ウ 地域住民と密着した諸活動
(ア) 地域に密着した「派出所、駐在所連絡協議会」等
 警察では、交番等を単位として、居住者の移動の激しいアパート、マンション等がある地域や事件、事故等が多発している歓楽街等を中心に、「派出所、駐在所連絡協議会」の設置を進めている。この協議会は、所管区内の自治会役員やアパート、マンションの管理人、商店街の役員等の地域の代表者から構成され、地域警察官が地域の問題や警察に対する要望、意見等を聴き、また、警察からも防犯、交通安全等に関する必要な助言、指導を行い、地域ぐるみで犯罪や事故のないまちづくりを進めていこうとするものである。4年末現在、協議会は全国で6,125箇所設置されている。
 また、警察では、所管区ごとに地域の抱える問題の中から重要なものを一つずつ順に取り上げ、地域の住民とともに解決を図っていく「一所管区一事案解決運動」を推進している。
(イ) 交番等のコミュニティー業務
 交番等の勤務員は、祭礼、奉仕活動等の地域行事の開催準備やこれらの行事への参加、交番等を訪れる地域住民との交際、スポーツ、趣味等を通じた住民との交流、地域住民が自主的に行う交通安全運動、防犯活動等への参加等の地域コミュニティー業務を積極的に行っている。
 こうした地域コミュニティー業務は、特に駐在所の業務の中で重要な位置を占めるものである。駐在所が地域コミュニティー業務をより効果的に、かつ、きめ細かく推進していく上では、勤務員だけでなくその夫人がこれに協力し、家族ぐるみで各種行事に参加していることが大きなささえとなっている。
(ウ) 独居高齢者等に対する保護活動
 4年末現在、地域警察官が巡回連絡等を通じて把握している65歳以上の独居高齢者は約96万人で、このうち、事件、事故等の被害者になりやすいなどの理由で、地域警察官がパトロール等の機会を利用して努めて立ち寄ることとしている要保護独居高齢者は約10万人である。また、夫婦又は兄弟姉妹だけで暮らしており、近所に近親者が住んでいないなど、犯罪や事故等の被害に遭いやすいと考えられる65歳以上の二人暮らしの世帯は約3万2,000世帯である。
 警察では、巡回連絡等の際に高齢者世帯を計画的に訪問し、必要に応じて、防犯指導、困りごと相談、緊急時における連絡方法の指示、関係機関や親族への連絡等を行っているほか、高齢者が困りごと等について気軽に相談できるように、担当警察官の氏名を知らせるなど、親しみのもてる応接に努めている。
 なお、長寿社会総合対策については、4(2)参照。
〔事例〕 広島県呉警察署管内の交番で勤務する警察官は、住民から近くに住んでいる一人暮らしの老人(74)の姿を最近見掛けないとの連絡を受け同人宅を訪問したところ、同人が脳溢(いっ)血で倒れているのを発見し、直ちに病院に収容するなどの手配を行い、同人は一命を取り留めた。
(エ) 祭礼、各種イベント等の雑踏警備活動
 警察では、祭礼等伝統行事だけでなく、最近のレジャー、スポーツブームに伴って頻繁に開催される各種スポーツ大会、イベント等に際し、多数の地域警察官を動員し、交通整理、小暴力事案の監視、迷い子や泥酔者の保護、救護等の雑踏警備活動を行い、地域住民が安心してこれらの行事を楽しめるよう努めている。
 なお、雑踏警備活動については、第9章2参照。
(オ) 遺失物の取扱い
 遺失物を早期に発見し、これを速やかに返還するための遺失、拾得届の受理業務は、交番等の地域警察官が行う重要な業務の一つである。4年に警察が取り扱った遺失届は約279万件で、このうち通貨は約511億円、物品は約623万点であり、また、拾得届は約389万件で、このうち通貨は約169億円、物品は約862万点であった。拾得届のあった金品のうち、通貨については72.0%、物品については28.0%がそれぞれ遺失者に返還されている。最近5年間における遺失物の取扱状況は、図4-1のとおりである。

図4-1 遺失物の取扱状況(昭和63~平成4年)

 警察では、業務の迅速化、省力化を図るため、昭和60年から、遺失、拾得届の電算管理システムの導入を進め、平成4年末現在、全国26都道県警察において遺失、拾得届の電算管理システムが運用されており、その他の府県警察でも同様のシステムの開発を予定している。
(カ) 地域の身近な話題を伝える「交番新聞」
 全国の交番等の97.0%に当たる約1万5,000箇所の交番等では、それぞれ独自にミニ広報紙を発行している。これらの広報紙は交番等の地域警察官の手作りによるもので、所管区内の事件、事故等の発生状況とその防止策、善行児童の紹介、住民の声等の身近な話題を伝える「交番新聞」として広く地域住民に親しまれており、単に警察と地域住民を結ぶものとしてだけではなく、地域住民相互の心の触れ合いの場として大きな役割を果たしている。

(2) 地域警察活動と住民の意識
 総理府では、交番等やそこで勤務する地域警察官が国民にとってどのような存在であり、また、国民が交番等やそこで勤務する地域警察官に対してどのような要望、期待を持っているかを明らかにし、今後の施策に役立てるため、平成4年7月に、全国の20歳以上の者3,000人を対象に意識調査を実施し、2,314人から回答を得た。
 調査結果は、次のとおりであった。
ア 交番等の利用状況
 最近2~3年間に交番等を訪問したことのある者の割合は31.2%で、そのときの用件は、「遺失物、拾得物の届出」(39.4%)、「地理案内」(19.4%)、「免許証の更新手続等についての質問」(13.9%)の順になっている。また、そのときの警察官の対応については、「良かった」又は「まあ良かった」と感じた者が全体の84.2%を占めている。
イ 地域警察官と住民との触れ合い
 最寄りの交番等の警察官を知っている者の割合は27.3%で、顔も名前も知らない者が全体の71.0%を占めている(図4-2)一方で、地域警察官が地域住民との触れ合いをもっと深める方が良いと考える者は全体の61.8%に上っている。地域警察官が地域住民との触れ合いを深めることの良い点(複数回答)としては、「警察の存在が身近になり安心できる」(64.8%)、「警察への相談や協力がしやすくなる」(54.7%)、「警察が地域の実情に明るくなるので、事件、事故に的確に対処してくれる」(39.8%)、「警察に親しみを覚える」(36.1%)などが挙げられている。

図4-2 最寄りの交番等の警察官を知っているか

ウ 地域警察官への要望
 地域住民の安全を守るため、今後、交番等の警察官のどのような活動を強化してほしいと思うか聞いたところ(複数回答)、「パトロール」(58.0%)、「違法駐車などの取締り」(39.2%)、「通学路等における交通安全指導」(36.0%)、「困りごと相談への対応」(28.1%)の順となっている。
(3) 地域警察活動の充実
 従来の地域警察活動は、最近の社会情勢の変化に伴う住民の多様なニーズに必ずしも十分にこたえていない面があった。そこで、現在、交番等の機能強化を図るため、次のような施策を実施している。
(注) ブロック、派出所長制度については、平成5年1月に施行された改正地域警察運営規則において制度化され、全国的に実施されている。
ア 交番等のブロック
 限られた警察力で地域における警戒体制を充実させるため、近接した交番等を組み合わせてブロック単位で運用し、合同パトロールの実施やパトロール等で不在となった交番等への応援を通じて連携の強化を図り、地域の特性に沿った弾力的な活動を推進している。
イ 派出所長制度
 交番に置かれる派出所長は、日勤制の勤務を行うことにより、交番の勤務員全員を監督し、交替制勤務から生じる事務引継ぎの不徹底等の問題を解消するとともに、自らパトロールや巡回連絡等地域に溶け込んだ活動を行っている。
ウ 交番等の不在時対策
 住民が、事件、事故に関する急訴や困りごとについての相談のため交番等を訪れても、交番等の勤務員の数は必ずしも十分なものではなく、また、パトロ-ル等の所外活動を行っていることも多いことから、警察官が不在である場合が少なくない。このため、警察では、勤務員の不在時対策の一つとして、通信装置やコンピュータ端末等を利用して、警察官の行う業務を代行、支援させる「ハイテク交番」や、警察官OBを嘱託員として交番等に配置し、事件、事故の届出の取次ぎや地理案内、遺失物取扱い等の業務を行う「交番相談員制度」の導入を進めている。
エ ミニパトカーの整備
 駐在所は、警察署から遠く離れ、管轄面積が広いことが多く、警察署との連絡や所管区内のパトロールには機動力を有する車両が不可欠である。このため、警察では、当面、警察署から遠隔地にある駐在所を中心にミニパトカーを配車することとし、3年度から5箇年計画で整備を推進している。
オ 交番等の「生活安全センター」化の推進
 警察では、交番等を地域コミュニティーにおける生活安全センターとして位置付け、地域住民が気軽に立ち寄り、警察への相談や防犯についての会合ができるように、コミュニティー・ルームの設置や老朽化施設

の整備改善を図るとともに、交番等と住民が相互に情報の交換ができるようファックス等の装備資機材の整備を進めている。
(4) 国際的にも注目を集める交番、駐在所
 交番等を中心とした地域警察活動は、我が国の良好な治安をささえる大きな要素として広く海外からも関心が寄せられており、中には我が国に倣って交番の制度を新たに導入した国もある。このため、警察庁では、諸外国からの視察団等を受け入れ、我が国の地域警察の制度、活動状況等を紹介し、地域警察関係者の国際的な交流に努めている。平成4年には、18箇国からの視察団を受け入れた。
 特にアジア諸国においては、我が国の交番駐在所制度に対する関心が強いことから、警察庁では、アジア諸国において地域警察等の活動に携わる警察幹部を対象とした「アジア地区・地域警察セミナー」を開催している。このセミナーでは、我が国の交番等の制度や最新の科学技術を活用した通信指令システム等を体系的に紹介し、我が国の地域警察活動の中で培われた情報、ノウハウを参加各国に提供するとともに、参加各国の警察事情についての認識を深め、アジア諸国の地域警察関係者の交流を広げている。4年には、ASEAN諸国をはじめとする7箇国から13人を招請した。
 なお、国際協力の推進については、第2章3(2)参照。

2 地域に根ざした警察活動

(1) 国民の立場に立った相談業務の推進
 警察では、困りごと相談、少年相談、消費者被害相談、覚せい剤相談、民事介入暴力相談、交通相談等各種の相談業務を推進し、国民からの相談に対して必要な助言等を行うとともに、警察だけでは対応できない相談については、他の機関を紹介するなどの措置を講じている。
ア 総合相談室
 警察では、従来、相談の種類ごとに窓口を設置し、相談業務の充実を図ってきたが、その反面、窓口が多数になり、相談者にとって分かりにくいという問題が生じてきたため、平成2年から窓口を一本化した総合相談室を警察本部に設置している。
 また、国民からの電話による各種の相談についても、これまでは、「ヤング・テレホン・コーナー」、「悪質商法110番」、「困りごと110番」等、相談の種類ごとに各種の相談専用電話を設置してこれに応じていたが、相談者の利便を図るため、警察本部の総合相談室に全国統一番号の相談専用電話「#(シャープ)9110番」を設置し、プッシュホン電話で「#9110」を押せば、警察本部の総合相談室に相談ができるようにしている。
イ 困りごと相談
 4年における困りごと相談の受理件数は19万9,767件で、前年に比べ1万2,194件(6.5%)増加した。また、4年に受理した困りごと相談の内容は 表4-1のとおりで、防犯問題が最も多く全体の33.9%を占めており、前年に比べ民事問題は4,201件(12.2%)増加した。
 4年における困りごと相談の処理状況は、表4-2のとおりである。

表4-1 困りごと相談の内容(平成4年)

表4-2 困りごと相談の処理状況(平成4年)

(2) 様々な保護活動
 警察では、個人の生命、身体を守るため、応急の救護を要する者等について、次のような保護活動を行っている。
ア でい酔者、迷い子、精神錯乱者等の保護
 最近5年間にでい酔者、迷い子、精神錯乱者等を保護した状況は、表4-3のとおりである。

表4-3 酔っ払い、迷い子、精神錯乱者等の保護の状況(昭和63~平成4年)

 平成4年の被保護者に対する措置の状況をみると、家族、知人等に引き渡した者が68.5%と最も多く、保護の必要がなくなって保護を解除した者が23.4%、医療機関、福祉施設等の関係機関に引き継いだ者が8.1%となっている。また、保護した精神錯乱者のうち、精神障害のために自身を傷付け、又は他人に害を及ぼすおそれがあると認めて知事に通報したものは4,108人、保護したでい酔者のうち、アルコ-ルの慢性中毒者又はその疑いのある者であると認めて保健所長へ通報したものは1,470人である。
イ 家出人の発見、保護
(ア) 減少した家出人捜索願の受理件数
 警察では、家出人の生命、身体の安全の確保を図り、家族等の期待にこたえるため、その早期発見、保護に努めている。4年における家出人捜索願の受理件数は8万5,269件で、前年に比べ3,315件(3.7%)減少した。最近5年間の家出人捜索願の受理件数の推移は、表4-4のとおりである。
 また、犯罪に巻き込まれ、又は自殺するおそれ等がある家出人については、これを特異家出人として受理し、特に迅速な発見、保護に努めており、4年の件数は、全捜索願受理件数の16.3%を占めている。

表4-4 家出人捜索願の受理件数の推移(昭和63~平成4年)

(イ) 多い職務質問等による発見
 4年の家出人の発見数(捜索願未受理の家出人を発見した場合を含む。)は8万3,061人で、前年に比べ7,460人(8.2%)減少した。このうち、特異家出人の発見数は1万3,149人であった。家出人の発見の端緒別状況は表4-5のとおりで、自ら帰宅した家出人とその他を除くと、警察官の職務質問等によるものが11.3%と最も多い。

表4-5 家出人の発見の端緒別状況(平成4年)

 なお、家出人の大部分は無事に帰宅し、又は発見されているが、家出中に自殺した者が1,668人(2.0%)、犯罪を犯した者が1,606人(1.9%)、犯罪の被害者となった者が191人(0.2%)いる。
(3) 防犯団体の育成と活動
ア 防犯協会、防犯連絡所の活動
 防犯協会は、地域における防犯活動の担い手であり、警察と協力して、地域における犯罪の予防、社会環境の浄化等犯罪のない安全なまちづくりのための活動を行っている。最近は、少年の非行防止と健全育成及び覚せい剤等薬物の乱用の防止に重点を置いた活動を積極的に展開している。
 防犯連絡所は、地域における民間の自主防犯活動の拠点として、平成4年末現在、全国で70万5,621箇所(60世帯に1箇所設置されており、事件、事故の通報、防犯座談会の開催等の活動を行っているほか、警察や防犯協会が作成した資料を住民に配布するなど、警察と住民とのパイプ役を果たしている。
 警察では、地域における防犯活動の活性化を促進するとともに、警察の行う防犯対策と地域における防犯活動との有機的な連携を図るため、防犯協会及び防犯連絡所の体制の強化、犯罪情勢に応じた効果的な活動についての助言、指導等を行っている。
イ 職域防犯団体の活動
 警察では、犯罪の被害を受けやすい業種、犯罪の場となり、又は犯罪のため利用されやすい業種、防犯活動や捜査活動に対して組織的な協力を行うことのできる業種等について、それぞれ職域防犯団体の結成を呼び掛け、これらの組織による自主防犯活動の活性化を図っている。4年末における職域防犯団体の結成状況は、表4-6のとおりである。

表4-6 職域防犯団体の結成状況(平成4年12月)

 警察では、これらの団体に対し、研究会の開催、資料の配布等を通じて、業種に応じた防犯対策等についての助言や協力を行い、活動の促進を図っている。
(4) 住民と警察を結ぶ音のかけ橋、警察音楽隊
 警察音楽隊は、各都道府県警察と皇宮警察本部に48隊が置かれており、隊員は約1,800人である。そのほとんどの隊が、婦人警察官、交通巡視員等の女性隊員から成るカラーガード隊を編成している。
 隊員の多くは、警察業務に従事するかたわら、勤務の合間や非番の日を利用して訓練を重ね、警察が主催する交通安全運動や防犯運動等の行

事に出演しているほか、小、中学校等における音楽教室での演奏、福祉施設等での慰問演奏、昼休み時間を利用したコンサート等地域住民に親しまれる演奏活動を行っている。平成4年には、全国各地で4,818回の演奏活動を実施し、聴衆の数は延べ約1,877万人に達した。
 また、4年10月には、仙台市において第37回全国警察音楽隊演奏会が行われ、全国から37隊、約1,700人が参加して、フロアードリルや合同演奏を行い、地域住民との交流を深めた。

3 事件、事故に即応する警察活動

(1) 国民に定着した110番
 警察では、事件、事故等が発生した際に、国民からの通報を迅速に受け付け的確に対応するため、通信指令システムを設けているが、この中で重要な役割を果たし、国民の安心感のよりどころとなっているのが「110番」である。
 なお、通信指令システムの高機能化については、第10章6(2)参照。
ア 110番通報の現況
 平成4年に全国の警察で受理した110番の件数は約486万件で、前年に比べ約16万件(3.5%)増加した。これは、6.5秒に1回、国民26人に1人の割合で利用されたことになる。過去10年間の110番受理件数の推移は、表4-7のとおりである。

表4-7 110番受理件数の推移(昭和58~平成4年)

 また、警察では、毎年1月10日を「110番の日」と定め、国民に対して、110番の一層有効かつ積極的な利用を呼び掛けている。
イ 通信指令システムの概要
 110番通報その他事件、事故の発生時における国民からの緊急通報を迅速かつ集中的に処理するため、警察では、都道府県警察ごとに通信指令

室を設けている。
 4年4月1日現在、全国の警察署の84.8%に当たる1,063警察署の管轄区域内で、110番通報すると自動的に警察本部の通信指令室につながるようなシステムが設けられている(110番集中地域)。110番集中地域以外では、110番通報すると所轄の警察署につながるようになっている。
 通信指令室では、110番通報を受理すると、直ちにパトカーや交番等の警察官を現場に急行させるとともに、必要に応じて緊急配備の発令、他の都道府県警察本部への通報等を行い、警察官を迅速かつ組織的に動員することにより、人命の救助、犯人の早期検挙等に努めている。
ウ リスポンス・タイム
 4年の110番集中地域におけるリスポンス・タイム(通信指令室が110番通報を受理してから警察官が目的地に到着するまでの所要時間をいう。)の平均は5分46秒であった。刑法犯事件に関するリスポンス・タイムと現場における犯人検挙との関係をみると表4-8のとおりで、リスポンス・タイムが短ければ短いほど、現場で犯人を検挙する確率が高くなっている。

表4-8 110番集中地域におけるリスポンス・タイムと現場における検挙状況(平成4年)

 しかし、交通事情の悪化、建物や住宅構造の複雑化等の様々な要因により、リスポンス・タイムの短縮は年々困難となっている。こうしたことから、警察では、110番通報の集中的処理及び警察官やパトカー等に対する一元的指令を行う通信指令室に、最新の科学技術を活用した設備を導入することによって、リスポンス・タイムの短縮に努めている。
 各都道府県警察では、通信指令室に地図自動現示システム等を導入し、事案発生場所を早急に把握するとともに、コンピュータを導入することによる各種情報の処理、伝達の迅速化、タクシー会社、警備会社等への円滑、迅速な連絡体制の整備等、高度な機能を持つ通信指令システムの構築に努めている。また、パトカーの活動状況が容易に把握できるカーロケータ・システム等警察の各活動単位を組織的に管理し、有効に活用できるシステムの導入も図っている。さらに、3年からは、(財)セキュリティシステム調査研究財団によって緊急通報機能付防犯電話シスプム(電話器に内蔵されたボタンを押すだけで、県警察本部と回線がつながり、県警察本部の110番受理台に通報者の所在地等が自動的に表示される電話器)の運用が埼玉県において開始されており、110番システムの高度化への先駆けとして注目されている。
エ 110番誤通報等の実情
 110番通報の中には、電話番号の間違いやいたずら電話等誤通報もかなり多く、事件、事故の発生時等緊急の場合における110番通報の障害となっているほか、正常な警察活動を阻害する要因ともなっている。
 4年7月に行った誤通報件数調査によると、7月の1箇月間に全国の警察本部で受理した110番通報70万864件中、35.9%に当たる25万1,863件が誤通報であった。調査期間中における誤通報の内訳は、表4-9のとおりである。
 また、全国の金融機関等には、4年末現在6万970台の非常通報装置等が設置されており、非常事態発生時にボタンを押すことにより自動的に警察本部に通報されるなどの仕組みとなっている。4年中にこれらによる非常通報として受理した1,351件のうち、押し間違いや不注意等による

表4-9 110番通報中の誤通報の割合(平成4年7月)

誤報は1,220件で、全受理件数の90.3%に上っている。
 警察では、広報活動を行い、110番の正しい利用について広く国民に呼び掛けるとともに、非常通報装置を設置している金融機関等に対して誤報防止のための指導を行っている。
(2) 水上警察活動
 近年、レジャー人口の増加とレジャースポーツの多様化が水上(海上及び内水面をいう。)にも広がり、水上オートバイ、モーターボート、スキューバダイビング等の事故が昭和63年には229件であったものが、平成

4年は269件と増加しており、また、海上からの覚せい剤、大麻等の密輸事案等海上犯罪の発生を注視する必要がある。
 警察では、水上における国民の生命、身体及び財産の保護、水上犯罪の予防、鎮圧及び捜査、水上における被疑者の逮捕、交通の取締りその他公共の安全と秩序の維持に当たるため、全国の水上警察署、臨港警察署をはじめ、主要な港湾、離島、河川、湖沼等を管轄する133警察署に警察用船舶203隻を配備し、パトカーや警察用航空機と連携して、パトロ-ル等の警戒、警備活動や各種事件、事故等の検挙、取締り等に当たるとともに、訪船等による安全指導を積極的に行っている。最近5年間の水上警察活動に伴う犯罪検挙、保護等の推移は、表4-10のとおりである。
 東京湾、大阪湾等においては、東京湾横断道路、関西国際空港等大規模なプロジェクトが計画又は実施されているが、これらのプロジェクト

表4-10 水上警察活動に伴う犯罪検挙、保護等の推移(昭和63~平成4年)

については、海上交通関係法令の遵守等について関係者に周知、指導を行うとともに、警察用船舶による警戒活動を実施して、海上交通の安全に努めている。
 また、海、河川、湖沼等における水上交通の安全確保のため、現在、東京都等一部の都道府県において制定されている「水上安全条例」についてその見直しや制定を促している。
 さらに、海上における広域事案に的確に対処するため、平成4年には、大阪府及び徳島県の海上(大阪湾)で警察用航空機との連携による警察用船舶の広域運用訓練を実施するなど、警察用船舶の広域運用のための基盤づくりに努めており、今後、警察用船舶の大型化及び高速化、装備資機材の高度化等を行い、海上における警戒力の強化を推進するなど、水上警察体制を更に充実、強化することとしている。
(3) 鉄道警察隊
 近年における通勤圏の拡大、国民のレジャー志向の高まり等により鉄道利用者は増加の一途をたどっている中で、駅、列車等の鉄道施設内

における犯罪も増加傾向にあることから、鉄道警察隊の任務はますます重要なものとなっている。
 鉄道警察隊は、鉄道沿線を管轄する警察署と連携の上、駅構内においては、パトロール、立番等を通じて、すり、置引き等の犯罪の予防及び検挙、少年補導、迷い子、家出人等の保護、地理案内等を行っている。また、列車内においては、主要な鉄道路線の犯罪発生状況の分析結果に基づき、新幹線や在来線の特急、寝台列車等を重点に警乗し、盗難、迷惑行為等の予防、検挙、少年補導、要保護者の保護のほか、乗客に対して犯罪や事故の防止に必要な指導を行っている。さらに、置き石等による列車妨害や踏切事故等の鉄道事故を未然に防止するため、鉄道沿線の警戒警備を実施しているほか、沿線住民に対する事故防止の指導及び広報、幼稚園児、小学生等を対象とした交通安全教室の開催等を行っている。
 鉄道施設内の治安を維持していくためには、鉄道事業者との連携、協力が不可欠であることから、警察では、鉄道事業者との連絡協議会を設置し、定期的に会議を開催するなどして、事件、事故発生時における迅速な通報やとるべき措置等について連絡を密にするとともに、列車事故を想定した共同訓練を行うなど、鉄道事業者と一体となって諸対策を講じている。
〔事例〕 平成2年5月以降、軌道上に盗難自転車等を放置する悪質な列車妨害事案が連続発生した。鉄道警察隊では、JRの協力を得て行った長期間にわたる張り込み捜査とビデオカメラを使用したよう撃捜査により、4年10月電汽車往来危険・威力妨害犯人を逮捕(広島)
(4) 警察用航空機の活動
 平成4年末現在、警察用航空機は、各都道府県警察に計64機配置され、機動性、高速性、広視界性という利点を最大限に活用し、空からのパトロールを通じた交通情報の収集、環境事犯や密漁事犯の監視等を行っている。また、事件、事故等が発生した場合は、通信指令室からの指令に基づき、速やかに現場に出動し、パトカー等の警察官と連携して、空から事件、事故等の状況把握、犯人の捜索、追跡等の捜査、被災者等の救難救助等、事件、事故に即応した活動を行っている。

 4年中における警察用航空機のパトロールの出動回数は1万3,630回であり、犯罪検挙等に大きな成果を挙げている。また、山岳遭難や水難等の救難救助活動では、785回出動し、236人を救助している。
〔事例〕 8月、富士川中州でキャンプ中の男女4人が急な雷雨による増水のため取り残され救助を求めていたところ、警察用航空機が出動し、機上からつり上げて救助した(静岡)。
 警察では、広域的な事件、事故等に対応し、より機動的な捜査活動、遭難救助活動等を行うため、警察用航空機の増強配備や大型化、装備資機材の整備充実、パイロットを対象とした外国での訓練による高度技術の取得等に努めるとともに、パトカー、警察用船舶との連携を強化した警察用航空機の効率的運用の強化を推進することとしている。

4 安全で平穏な地域社会づくりのための施策

(1) 地域に密着した防犯活動
ア 防犯広報、防犯診断、防犯指導の実施
 警察では、テレビ、ラジオ等のマスメディアの利用、映画、ビデオの活用、パンフレット等の配布等により、防犯広報を積極的に実施しているほか、侵入盗等の多発が予想される地域の家庭、事業所等を訪問し、家屋等の窓、出入口等について防犯診断を行い、防犯上必要な改善を促すなどの防犯指導を実施している。
 また、(財)全国防犯協会連合会及び各都道府県防犯協会の協力を得て、電子ドアロック等の最新の防犯機器、システムを搭載した防犯キャラバン車を活用し、効果的な防犯指導を実施するとともに、地域における防犯意識の高揚を図っている。
イ 各種防犯運動の展開
(ア) 全国防犯運動の実施
 平成4年の全国防犯運動は、暴力団が平穏な市民生活や健全な経済活動を脅かしていること、低年齢層の少年による非行や万引き、オートバイ盗等の初発型非行が多発し、依然として高水準で推移していること、オートバイ盗、自転車盗が近年増加の一途をたどり、刑法犯の認知件数を増加させる一因となっていることなどにかんがみ、暴力追放(暴力団の排除)、少年の非行防止及びオートバイ盗、自転車盗の防止を全国統一重点として、10月11日から20日までの10日間実施された。運動期間中、全国各地で暴力団排除活動、暴力追放宣言の決議、少年補導、有害環境浄化活動、オートバイ、自転車の防犯診断、自転車防犯登録の促進等が積極的に展開され、地域、職域における防犯意識の高揚に大きな役割を果たした。
(イ) 季節防犯運動の実施
 各都道府県警察では、全国防犯運動のほかに、行楽期の4月から5月にかけては春の防犯運動、夏休み時期の7月から8月にかけては夏の防犯運動、また、犯罪や事故の多発が予想される12月から1月にかけては年末、年始における特別警戒の実施等、それぞれの実情に沿った独自の運動を展開して、各種犯罪等の防止に努めている。
(2) 長寿社会総合対策の推進
ア 高齢者の保護
 警察では、高齢者を犯罪や事故から保護するため、巡回連絡等を通じて高齢者宅を訪問し、その実態を把握するとともに、防犯指導を行っている。また、シルバーデー、独居高齢者宅訪問日等を設定して、計画的、集中的に巡回訪問等の活動を行っているほか、各種パンフレットの配布、老人クラブや老人ホーム等における防犯教室、防犯講習会の開催等の活動を行っている。
イ 高齢者の社会参加活動の推進
 警察では、高齢者の生きがいを醸成し、地域の連帯感や相互扶助機能の強化を図るため、高齢者による地域に密着した自主防犯活動、環境浄化活動等の社会参加活動を促進しているほか、防犯協会の役職員、防犯連絡所責任者、少年補導員等の選任に当たっても高齢者への委嘱に配意している。
ウ 長寿社会パイロット地区活動
 警察では、長寿社会対策の効果的な推進を図るため、昭和62年度から、高齢化が進んでいる地域90地区を「長寿社会パイロット地区」に指定している。これらの地区においては、関係機関、団体等と連携して、犯罪や事故の被害者となりやすい高齢者を対象とした防犯座談会、防犯教室を開催し、犯罪や事故の防止について啓発を行うとともに、希望者を募り、防犯運動、交通安全運動等の地域に密着した活動への参加を促進している。
(3) 最近の犯罪発生状況に対応した防犯対策
ア 身近な犯罪の防止対策
(ア) 侵入盗の防止対策
 警察では、住民に強い不安感を与える侵入盗の発生を防止するため、侵入盗の発生が多い地域を中心に、昭和52年から「盗犯防止重点地区」を指定して、地区内の各種対策を推進してきたが、平成4年は、これを「侵入盗防止重点地区」に改称し、全国で65地区を指定(警察庁指定)した。この地区においては、住民の代表、民間防犯団体の役員、警察署の幹部等で構成される推進協議会が設置され、地域住民と警察とが一体となって侵入盗防止のための活動が進められている。
(イ) 乗物盗防止対策
 近年、刑法犯認知件数が増加傾向にあり、乗物盗の増加がその大きな要因となっている。警察では、自動車盗の防止対策として、自動車のユーザーに対する「キー抜取り、ドアロック」の励行等についての広報啓発活動、自動車関係業界、駐車場管理者等に対する防犯指導等を推進しているほか、(社)日本防犯設備協会と協力して盗難防止システムの研究を行っている。また、オートバイ盗の防止対策として、同協会と協力して、ハンドルロックの強化等オートバイの盗難防止対策について検討を行っている。さらに、4年は、自動車盗、オートバイ盗及び自転車盗の発生を防止するため、「乗物盗防止重点地区」として全国で65地区を指定(警察庁指定)した。これらの地区においては、住民の代表、民間防犯団体の役員、警察署の幹部等で構成される推進協議会が設置され、地域住民と警察とが一体となって乗物盗防止のための活動が進められている。
(ウ) 路上犯罪(強盗、ひったくり、痴漢等)の防止対策
 近年、強盗、ひったくり、強制猥褻(わいせつ)等の道路上における犯罪が増加傾向にあることから、警察では、自治体と連携し、防犯灯の増設、歩道と車道を分離する柵(さく)の設置等発生防止のための環境対策を講じるとともに、パンフレット、ビデオ等による被害者層を中心とした防犯広報、地域における防犯研修会等を積極的に実施しているほか、携帯用防犯ブザー、自転車用のひったくり防止ネット等の防犯器具の紹介、普及に努めている。
(エ) 幼児等を対象とする誘拐事件の防止対策
 4年中は、幼児等を対象とする誘拐事件の認知件数は150件と前年に比べ87件増加し、下校途中の児童等に声を掛ける連れ去り前兆事案も多く、子供を持つ家庭に大きな不安を与えている。警察では、教育機関、PTA、家庭等に対し、防犯研修会等を通じて防犯指導を推進するとともに、幼稚園児や児童向けに、防犯キャラバン車等を利用して、劇や紙芝居を取り入れた出張広報活動を積極的に行っている。
イ 重要事件の防犯対策
(ア) 金融機関対象強盗事件の防犯対策
 4年における金融機関対象強盗事件は115件で前年とほぼ同数であったが、依然として高水準で推移している。警察では、金融機関との連絡会議を開催しているほか、金融機関の営業所に対する防犯診断や防犯パトロール等の際に、「金融機関の防犯基準」に基づいて防犯指導を行うとともに、(財)日本防災通信協会等と協力して、管理体制、防犯設備の充実を促進している。
 また、金融機関等に設置されている現金自動支払機等の現金をねらった窃盗事件が多発したことから、これらの施設に‐対するパトロールを強化するとともに、現金自動支払機等の設置者、管理者、製造会社、警備業者等を交えた連絡会議を開催し、また、「現金自動支払機(CD)等の防犯基準」を策定して、関係機関、団体に対し、基準に基づいた防犯対策の強化を要請するなど、事件の未然防止に努めている。
(イ) 深夜スーパーマーケット対象強盗事件の防犯対策
 深夜スーパーマーケット対象強盗事件の認知件数は、2年61件、3年93件、4年127件と急激に増加している。
 地域的には、大都市圏を中心に発生しているが、地方への波及傾向もみられるため、県単位、警察署単位の職域防犯組織の結成を促進し、業界全体の防犯意識を高めるとともに、各店舗の構造、営業時間、勤務体制、防犯設備等を点検して具体的な防犯指導を行っている。


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