第5節 今後の課題

 法の施行後1年間において、国民の暴力団排除意識が高揚し、警察の行う暴力団対策も相当の成果を挙げてきたところであり、引き続き暴力団の根絶に向けて暴力団総合対策を強力に推進する必要があるが、今後、次のような課題に積極的に取り組む必要がある。
[1] 暴力団を利用する者についての対策
 国民の一部には、自己の利益のために暴力団を利用する者がみられるなど、依然として暴力団は市民生活に深く浸透していると考えられるところであり、暴力団の中枢部に真に打撃を与え、最終的に暴力団を壊滅させていくためには、このような土壌をなくしていく必要がある。
[2] 暴力団の不正収益対策
 暴力団は、法施行後も依然として豊富な資金源を有していると認められることから、真に効果のある暴力団対策を推進していくため、暴力団員の行う違法又は不当な資金獲得活動をあらゆる手法を用いて規制していくとともに、これらの活動により得た暴力団の有する不正な収益をはく奪する仕組みについて検討していく必要がある。
[3] 暴力団の海外進出対策
 暴力団は、近年外国の犯罪組織との連携を図るなど、その活動の場を海外に広げる傾向がみられる一方、海外の犯罪組織が、日本への進出を図る動向がみられるなど、組織犯罪の国際化が進展している。このため、外国の日本大使館、日本企業の海外拠点と緊密な連絡を保つとともに、外国の捜査機関と十分に連携して、暴力団の海外での活動を封じるとともに、海外の犯罪組織の進出実態を解明してこれを取り締まっていく必要がある。


目次  前ページ