平成16年8月19日
警察庁

平成16年上半期のサイバー犯罪の検挙及び相談受理状況等について

1
サイバー犯罪の検挙件数
サイバー犯罪(情報技術を利用する犯罪)の検挙件数は、1,063件で前年同期と比べて116件、約12%増加。このうちネットワーク利用犯罪は976件で検挙件数の約92%を占める。

○児童買春が約2.3倍、青少年保護育成条例違反が約1.6倍に増加。いずれも、出会い系サイトを利用したものが多い。
○著作権法違反が約2.2倍、わいせつ物頒布等が約1.8倍に増加。インターネット・オークションを利用した犯行が目立つ。


2
サイバー犯罪等に関する相談受理件数
都道府県警察のサイバー犯罪相談窓口等が受理した相談受理件数は、33,066件で前年同期の19,097件と比べて約1.7倍に増加。

○インターネット・オークションに関する相談が約3.2倍に増加。代金を振込んでも、品物を送ってこない事例が多い。
○詐欺、悪質商法に関する相談が約1.7倍に増加。使った覚えのない有料サイトの利用料金を要求する架空請求メールに関するものが多い。
○不正アクセス、ウィルスに関する相談が約2.3倍に増加。


3
推進した対策

○警察庁情報技術犯罪対策課の設置等、組織体制の整備
○複数の都道府県にわたるサイバー犯罪の取締りの調整等による効果的かつ効率的な捜査の推進
○架空請求メール詐欺、インターネット・オークション詐欺等に関する広報啓発活動等、犯罪予防対策の強化
○「総合セキュリティ対策会議」の開催等による産業界等との連絡・協力体制の強化
○24時間コンタクト・ポイントの運用や国際会議への参加等による外国関係機関との連携の強化
◇平成16年上半期サイバー犯罪検挙件数
年 
H12
H13
H14
H15
H16

罪 名




上半期
上半期
増 減

不正アクセス禁止法違反
 67
67
105
145
84
66
-18

コンピュータ・電磁的記録対象犯罪
 44
63
30
55
31
21
-10


 電子計算機使用詐欺

 33
48
18
34
19
12
-7


 電磁的記録不正作出・毀棄

  9
11
8
12
9
6
-3


 電子計算機損壊等業務妨害

  2
4
4
9
3
3
±0

ネットワーク利用犯罪


802
1,209
1,471
1,649
832
976
+144


 詐         欺
 306
485
514
521
343
247
-96


児童買春・児童ポルノ法違反
児童買春
  8
117
268
269
105
241
+136



児童ポルノ
113
128
140
102
55
33
-22


 著 作 権 法 違 反
  80
 86
66
87
43
96
+53


 青少年保護育成条例違反
  2
 10
70
120
49
79
+30


 わいせつ物頒布等
154
103
109
113
39
70
+31


 脅         迫
 17
 40
 33
 38
 21
 17
 -4


 名 誉 毀 損
 30
 42
 27
 46
 26
12
-14


 そ  の  他
 92
198
244
 353
151
181
+30

合           計
913
1,339
1,606
1,849
947
1,063
+116











※その他には、覚せい剤取締法違反等の薬物事犯、銃砲刀剣類所持等取締法、売春防止法、児童福祉法、商標法等の違反がある。
◇平成16年上半期の主なサイバー犯罪検挙事例

不正アクセス禁止法違反事件

 他人の使用するIDを窃用して不正アクセスし、インターネット・オークションで架空の出品操作を行い、偽名口座に現金を振り込ませる手口で、31人から総額約400万円をだまし取った。
 詐欺、私電磁的記録不正作出・同供用でも検挙。(2月・埼玉、山形、茨城、京都、岡山)

 公開のイベント会場において、アクセス制御機能による特定利用の制限を免れることができる指令を入力して社団法人のWebサーバに不正アクセスし、個人情報を記録したデータファイルを窃取する方法を実演して、多数の参加者に公表した。その後、同イベントの参加者がこれに倣って同社団法人のWebサーバに不正アクセスした。(2月、3月警視庁)


コンピュータ・電磁的記録対象犯罪

【電子計算機使用詐欺事件】
 インターネット・バンキングに不正アクセスし、元の勤務先会社名義の口座から配偶者名義の口座へ送金操作を行い、510万円をだまし取った。
 不正アクセス禁止法違反等でも検挙。(2月・警視庁)


【電子計算機損壊等業務妨害事件】
 勤務先の病院から職務上の注意を受けたことを恨み、院内のパソコンに保存されている患者約500人分の病名や住所を消去し、病院の医療業務を妨害した。(3月・兵庫)

【公電磁的記録不正作出・供用事件】
 元市役所納税管理課長等が、市の納税管理課に設置されているコンピュータを操作し、同市役所で構築された税務オンラインシステムに虚偽の内容を入力し、人の事務処理の用に供した。(6月・千葉)

ネットワーク利用犯罪 

 ※ネットワーク利用犯罪とは、犯罪の構成要件に該当する行為についてネットワークを利用した犯罪、又は構成要件該当行為ではないものの、犯罪の実行に必要不可欠な手段としてネットワークを利用した犯罪をいう。

【詐欺事件】
 インターネット・オークションにパソコンを売るなどと虚偽の情報を掲載し、落札者162人から総額約3,700万円を銀行口座に振り込ませてだまし取った。(1月・神奈川)

 アダルトサイトや出会い系サイトの未納料金の債権回収業者を装って、被害者に携帯電話のメールで架空の使用料を請求し銀行口座に振り込ませる方法で、被害者5人から、総額約26万円をだまし取った。(3月・埼玉)

【児童買春・児童ポルノ法違反事件】
 携帯電話の出会い系サイトの掲示板に「メル友募集」と掲載した女子中学生に現金3万円を渡す約束をして児童買春した。(2月・広島)

 インターネット・カフェのパソコンから無料ホームページを利用してビデオ販売のホームページを開設し、約600人に児童ポルノ等のわいせつなビデオ・DVDを販売した。(3月・香川)

【著作権法違反事件】

 インターネット掲示板に「ゲームソフト売ります」等と書き込み、著作権者の承諾を受けずに、コンピュータゲームソフトを複製したCD-Rを29人に販売した。(3月・青森)

 ※昨年の検挙件数に入っているものの、今年に入ってから引き続き検挙した事件として以下のものがあった。
 映画のデータ等をインターネット上で公開し、不特定多数の者が自由にダウンロードすることのできるファイル共有ソフト「Winny」を開発、無償提供した大学研究員を著作権法(公衆送信権の侵害)違反の幇助で検挙。 (5月・京都)

【わいせつ物頒布等事件】
 ファイル共有ソフト「WinMX」を使用して収集したわいせつな動画ファイルをインターネット・オークションに出品し、全国128人の落札者に販売した。(1月・栃木)

【脅迫事件】
 インターネットサイトの掲示板に、「今週の日曜日、××郵便局に討ち入る。止める気でいるなら頑張りたまえ」等の書き込みをして脅迫した。(5月・群馬)

【名誉毀損事件】
 被害者の女性との性交場面を撮影したわいせつな図画等を、ファイル共有ソフト「WinMX」を利用してインターネットで自由に閲覧できるようにして、被害者の名誉を毀損した。(2月・愛知)

【威力業務妨害事件】
 携帯電話から、テレビ局の問い合わせメールアドレスに「そちらの建物は今日爆発します。」という内容のメールを送信し、同社の営業を妨害した。(6月・福岡)

【売春防止法違反事件】
 出会い系サイトを通じて知り合った女性を管理下に置き、不特定の遊客を相手方として売春をさせた。(2月・大阪)

【商標法違反事件】
 外国有名ブランドに類似する商標を付した腕時計を、インターネット・オークションを利用して販売した。(6月・宮城)

【銃刀法違反事件】
 インターネット・オークションにけん銃を出品し、密売しようとした。(2月・福岡)

【覚せい剤取締法違反事件】
 携帯電話のサイトの掲示板に「Sあります」等と掲載し、同掲示板を閲覧した購入者とメールにより支払い方法、発送先等を連絡確認し、覚せい剤を密売した。(2月・岡山)

【ストーカー規制法違反事件】
 交際を断られたかつての見合い相手に対して、「付き合ってくれ」などの電子メールを執拗に送信するなどのストーカー行為を行った。(6月・静岡)
◇相談受理件数

H13
H14
H15
H16

 区分

上半期
上半期
増 減

詐欺、悪質商法に関する相談
(インターネット・オークション関係を除く)
1,963
3,193
20,738
8,776
14,923
+6,147


インターネット・オークションに関する相談
2,099
3,978
5,999
2,309
7,393
+5,084

違法、有害情報に関する相談
3,282
2,261
4,225
2,605
2,185
  -420

迷惑メールに関する相談
2,647
2,130
2,329
1,246
1,960
  +714

名誉毀損、誹謗中傷等に関する相談
2,267
2,566
2,619
1,349
1,742
   +393

不正アクセス、コンピュータウイルスに関する相談
  1,335
1,246
1,147
  506
 1,139
 +633

その他
3,684
3,955
4,697
2,306
3,724
  +1,418

 合        計
17,277
19,329
41,754
19,097
33,066
+13,969









※その他の相談には、プロバイダや有料サービス会社とのトラブルに関するもの、
 ネットワークセキュリティ全般に関するものが含まれる。
◇平成16年上半期の主な相談事例等
1 主な相談事例
(1) 詐欺・悪質商法に関する相談
○債権回収代行業者から、使った覚えがないインターネット・コンテンツ利用料を請求するメールが届いた。
○携帯電話に届いたメールに書かれたアドレスにアクセスしただけで、数万円の料金請求をされた。言われるままに支払ったら、さらに高額な請求をされた。
○アダルトサイトの高額な利用料金を請求するメールが届いた。過去にアダルトサイトを使用した覚えがあるが、その時のものかどうか分からない。「払わない場合自宅まで行く」「延滞利息が加算される」「法的措置を執る」などと言われたため、これを支払ったが、その後も引き続き請求が来た。
○ファイル共有ソフトを使用していたら、弁護士を名乗る者から「あなたは、著作権を侵害している。至急○○○○○に連絡するように」と、メッセージが入った。連絡すると、和解金数十万円と書類作成料を請求された。
○身に覚えのないアダルトサイト使用料金の請求が住民票とともに送られてきた。また、携帯電話にも激しい口調で支払い催促がある。
○携帯電話に「契約の一部変更があったので、確認の上、引き続き利用してください」というメールが届いたため、確認のためリンク先にアクセスした。その後、請求のメールが頻繁に届く。

(2)インターネット・オークションに関する相談
○落札し、代金を振り込んだが、品物が届かない(なかなか送ってくれない)。そのうち相手先との連絡も取れなくなった(連絡をとったが、関係の無い別人であった)。
○落札できなかったが、その後、「落札者がキャンセルした」等の理由により直接取引をもちかけられた。これに応じて代金を振り込んだが、品物が届かない。相手先との連絡も取れなくなった(連絡をとったが、関係の無い別人だった)。
○落札して品物を送ったが、代金が入金されない。そのうち相手との連絡が取れなくなった。
○コンピュータソフトウェア、音楽CDを落札し、品物が送られてきたが、違法にコピーされたものだった。

(3)違法・有害情報に関する相談
○オークションに違法な品物(わいせつ画像、けん銃、違法コピーソフト等)が出品されている。
○インターネットの書き込みに「登校中の小学生でも襲ってくるか。包丁でメッタ刺しにして来るか」とあった。犯行予告かも知れないのでお知らせします。
○掲示板に自殺を予告するような書き込みがあった。

(4)迷惑メールに関する相談
○私のメールアドレスが勝手に使用され、卑猥な内容のメールの送信に使われている。
○携帯電話に広告メールが頻繁に送られてくるが、その中に送信者のメールアドレスが私のアドレスになっているものがある。私のメールアドレスが迷惑メールの発信元となっているのではないか心配だ。
○違法コピーソフトの販売広告のメールが送られてくる。場合によっては1日千件位来てトラフィックに大きな負担となっている。また、発信サイトがころころ変わり、フィルターが利かないため、迷惑している。
○携帯電話に「犯人を捜しています。メールをとめたらあなたが犯人だと思います」、「8人に転送してから見ないと今までのパケ代を一人で払ってもらいます」等のメールが送られてくる。

(5)名誉毀損、誹謗中傷に関する相談
○自分が開設しているホームページに掲載していた自分の顔写真が別の掲示板に勝手に載せられており、中傷するような書き込みがされていた。
○「あなたが違法行為をしている証拠をつかんだ、誠意を見せれば穏便に済ます」といった脅迫めいたメールが届いた。
○出会い系サイトで知り合った女性とメール交換をした。住所や、名前、携帯番号、学校名や友人の名前などを聞かれ、メールで顔写真を送ったりした。その後、「住所を売る」、「画像や名前をネットで流して公表する」等のメールが送られてきた。

(6)不正アクセス、コンピュータウイルスに関する相談
○オンラインゲームで、ログインしたところ、自分がそれまで入手していたアイテムとゲーム上の通貨が無くなっていた。運営会社に問い合わせたところ、何者かが不正にログインし、アイテム等を地面に落としていったことが判明した。
○インターネットに接続しているコンピュータに何者かが侵入し、デスクトップのアイコンの名前を「あほ」、「引っ越しか」などに変更された。
○ID・パスワードを誰かに盗まれ、オークションに利用された。
○海外から、クレジットカードの登録情報等が書かれたメール(英文で「どうしたら個人情報を守ることができるか、質問してくれれば答えてやろう」というような内容の文が添えられている)が届き、困惑している。

(7)その他
○サーバの管理及び運営等をしているが,顧客のドメインを利用した出会い系サイトの宣伝メールが1万件くらい届き、業務を妨害された。
○ダイアルアップ回線でインターネットを利用しているが、電話会社から今までにない高額の請求書が届いた。

2 警察の対応
 警察では、相談された事案が刑罰法令に抵触する場合には検挙等の措置を講じることはもとより、刑罰法令に抵触しない場合であっても防犯指導、相手方に対する指導・警告等を行うことにより、サイバー犯罪等による被害の未然防止の徹底を図っている。
 また、警察庁や各都道府県警察では、ホームページ等においても、警察の施策や最新のセキュリティ情報などについて、随時情報提供を行っている。