広報資料
平成16年2月19日
警察庁

平成15年中のサイバー犯罪の検挙及び相談受理状況について


1 サイバー犯罪の検挙件数は、1,849件で前年と比べて243件(約15%)増加。
  このうちネットワーク利用犯罪は、1,649件で検挙件数の約89%を占める。

○ ネットワーク利用犯罪では
出会い系サイトを利用した児童買春や青少年保護育成条例違反
インターネット・オークション等を利用した詐欺やわいせつ物頒布、著作権法違反
電子掲示板を利用した名誉毀損や脅迫
が多くを占める。

○ 不正アクセス禁止法違反の検挙は、平成12年の法律施行以降増加。



※ これまで、不正アクセス禁止法違反等一部の罪種については、検挙事件数により計上していたが、これらについても検挙件数で計上したものである。

2 サイバー犯罪等に関する相談受理件数は、41,754件で前年の19,329件と
  比べて約2.2倍に増加。
  いわゆる架空請求メールに関する相談が、全体の約43%を占める。




詐欺・悪質商法に関する相談が20,738件で前年3,193件と比べて約6.5倍に増加。
このうち、17,838件が、利用した覚えのない有料サイトの利用料金を請求するいわゆる「架空請求メール」に関する相談。

インターネット・オークションに関する相談は5,999件で前年3,978件と比べて約1.5倍に増加。


3 推進した対策


産業界等との連携を図るための総合セキュリティ対策会議の開催

サイバー犯罪対策ホームページ、情報セキュリティ対策ビデオ及びサイバー犯罪対策パンフレットを活用した広報啓発活動の推進

不正アクセス対策に関する調査研究報告書の公表による情報セキュリティ意識の啓発

Slammer及びBlasterワームの感染活動に関する注意喚起と情報提供

架空請求メール等ネットワーク利用の悪質商法に対する注意喚起

◇サイバー犯罪検挙件数

年 
H12
H13
H14
H15
 
 区分
    増減
 
不正アクセス禁止法違反
67(31)
67(35)
105(51)
145(58)
+40
 
コンピュータ・電磁的記録対象犯罪
44
63
30
55
+25
 
 電子計算機使用詐欺
33
48
18
34
+16
 
 電磁的記録不正作出・毀棄
9
11
8
12
+4
 
 電子計算機損壊等業務妨害
2
4
4
9
+5
 
ネットワーク利用犯罪
802(484)
1,209(712)
1,471(958)
1,649(1,083)
+178
 
 児童買春
児童買春
8
117
268
269
+1
 
 児童ポルノ法違反
児童ポルノ
113
128
140
102
-38
 
 青少年保護育成条例違反
2
10
70
120
+50
 
 わいせつ物頒布等
154
103
109
113
+4
 
 詐 欺
306(53)
485(103)
514(112)
521(86)
+7
 
 名誉毀損
30
42
27
46
+19
 
 著作権法違反
80(29)
86(28)
66(31)
87(41)
+21
 
 脅 迫
17
40
33
38
+5
 
 その他
92(78)
198(141)
244(168)
353(268)
+109
 
合 計
913(559)
1,339(810)
1,606(1,039)
1,849(1,196)
+243
 
       

これまで、不正アクセス禁止法違反、詐欺及び著作権法違反については、検挙事件数により計上しており、これを( )で検挙件数に併記した。同じくその他に含まれる、商標法違反、薬事法違反等の生活経済事犯、覚せい剤取締法違反等の薬物事犯、銃砲刀剣類所持等取締法違反についも、検挙事件数で計上しており、これを( )で検挙件数に併記した。また、ネットワーク利用犯罪の小計及び合計の( )は、これらについて検挙事件数で計上したものである。

◇平成15年中の主なサイバー犯罪検挙事例

不正アクセス禁止法違反事件


他人の口座から金を不正に得る目的で、インターネット・バンキング用の認証サーバに、あらかじめインターネットカフェのパソコンにキーロガーを仕組んで収集していた口座開設者のIDとパスワードを使用して不正アクセスし、他人の口座から自己が他の銀行に架空名義で開設していた口座に対して約1,600万円の送金操作を行った。
電子計算機使用詐欺、私電磁的記録不正作出等でも検挙。 (平成15年3月・警視庁)

自己のハッキングの技量試し等を目的に、私立高校、コンピュータサービス会社及び病院が管理するウェブサーバに対して、セキュリティ・ホールを突いて不正アクセスし、ホームページを改ざんした。電子計算機損壊等業務妨害でも検挙。(平成15年10月・警視庁)

コンピュータ・電磁的記録対象犯罪

【支払用カード電磁的記録不正作出事件】
 スキミングの手法により入手した顧客データを使って、クレジットカードを偽造した。
(平成15年2月・警視庁)
【電子計算機使用詐欺事件】
 家電量販店の元社員が客のクレジットカード番号、有効期限などの情報をクレジット伝票控から入手し、電子マネー販売会社のサーバコンピュータに客のクレジットカード番号等を入力して、電子マネー合計14万4,000円相当をだまし取った。
(平成15年11月・警視庁)
ネットワーク利用犯罪


ネットワーク利用犯罪とは、犯罪の構成要件に該当する行為についてネットワークを利用した犯罪、又は、構成要件該当行為ではないものの、犯罪の敢行に必要不可欠な手段としてネットワークを利用した犯罪をいう。
【児童買春・児童ポルノ法違反事件】

携帯電話の出会い系サイトに「援助交際をします。」等と書き込んだ女子高校生に対して「小遣いあげます。」等とメール送信し、児童買春した。
(平成15年2月・宮城)

インターネット上に児童ポルノに関する情報交換のメーリングリストを開設し、児童のわいせつ画像を投稿してグループ会員に配信した。
(平成15年10月・愛知)
【出会い系サイト規制法違反事件】
 出会い系サイトに「13才以下援2~で会える子いませんか?」等と書き込み、対償を与えることを示して児童を異性交際の相手方となるように誘引した。
(平成15年9月・神奈川)
【詐欺事件】

「アダルトコンテンツ利用料等の回収を委託されたので未納の利用料金等を指定口座に振り込んでください」等と虚偽の電子メール約235万通を送信して請求し、約300人から約1,000万円をだまし取った。
(平成15年6月・茨城)

インターネット・オークションに高級ブランドのバッグを売ると虚偽の出品情報を掲示して入札者を募り、落札者から代金約80万円を銀行口座に振り込ませてだまし取った。
(平成15年1月・兵庫)
【名誉毀損事件】
 インターネットの掲示板に地方自治体の首長の身体的特徴や選挙運動に関するうわさなどを書き込み、不特定多数の者に閲覧させ首長の名誉を毀損した。
(平成15年3月・高知)
【脅迫事件】
 インターネットの掲示板に「一週間後の何月何日にA町立B小学校の生徒を3人殺すと予告します。ひとりは「○○」にします。」等と実名を挙げて書き込み脅迫した。
(平成15年2月・栃木)
【偽計業務妨害事件】
 不特定多数の携帯電話に無差別に電子メール(スパムメール)を送信して有料情報サイトを宣伝することを企て、被害プロバイダに加入し、送信元を相手先のメールアドレスと同一に偽装して約300万件の電子メールを送信し、約20万件の宛先不明メールをメールサーバに滞留させてプロバイダの業務を妨害した。
(平成15年10月・警視庁)
【わいせつ物頒布等事件】
 アイコラ(アイドルコラージュ)といわれるアイドルの顔写真とヌード写真等を合成させたわいせつな画像をインターネット上で公開するとともに、同画像を保存したCD-Rを販売した。
(平成15年6月・警視庁)
【著作権法違反事件】

インターネット上にデータファイルを保存できるオンラインストレージサービスを利用して、著作権者の許諾を受けないでゲームソフトを蔵置し、不特定多数の者がダウンロードできる状態にした。
(平成15年4月・京都)

ファイル共有ソフトWinnyを利用して著作権者の許諾を受けないで映画、ゲームのデータをインターネット上に公開し、不特定多数の者がダウンロードできる状態にした。
(平成15年11月・京都)
【銃刀法違反事件】
 インターネット・オークションに「リボルバー式拳銃。実銃です。」等と写真を添えてけん銃を出品し、販売しようとした。
(平成15年5月・警視庁)
【麻薬特例法違反事件】
 インターネットの掲示板に「白い粉あります。1パケ1万円、ご希望の方は数量発送先をお知らせ下さい。」等と覚せい剤を販売する旨の書き込みをし、不特定多数のインターネット利用者が広告内容を閲覧することを可能な状態に設定して公然と覚せい剤を濫用することをあおり、そそのかしたもの。
(平成15年10月・兵庫)
【ストーカー規制法違反事件】
 以前交際していた女性に対して、「会ってくれなければ死ぬ。」等の復縁を迫る内容の電子メールを数十回送信するなどのストーカー行為を行った。
(平成15年11月・広島)

◇相談受理件数
年 
H12
H13
H14
H15
 
 区分
    増減
 
詐欺・悪質商法に関する相談
(インターネット・オークション関係を除く)
1,396
1,963
3,193
20,738
+17,545
 
 うち架空請求メールに関する相談
-
-
-
17,838
-
 
インターネット・オークションに関する相談
1,301
2,099
3,978
5,999
+2,021
 
違法・有害情報に関する相談
2,896
3,282
2,261
4,225
+1,964
 
名誉毀損・誹謗中傷等に関する相談
1,884
2,267
2,566
2,619
+53
 
迷惑メールに関する相談
1,352
2,647
2,130
2,329
+199
 
不正アクセス、コンピュータウイルスに関する相談
505
1,335
1,246
1,147
-99
 
その他
1,801
3,684
3,955
4,697
+742
 
合 計
11,135
17,277
19,329
41,754
+22,425
 
       

その他の相談には、プロバイダやインターネットサービス事業者とのトラブルやネットワークセキュリティ全般に関する相談が含まれる。

平成14年以前の架空請求メールに関する相談受理件数の統計はない。

◇平成15年中の主な相談事例

1 詐欺・悪質商法に関する相談(架空請求メールに関する相談を含む)


債権回収代行業者から、使った覚えがないインターネット・コンテンツ利用料を請求するメールが届いた。

高校生の娘の携帯電話にアダルトサイトの広告メールが届き、娘が興味本位でアクセスしてすぐに切断したそうだが、直後に利用料金3万円を請求するメールが届いた。

インターネットの通販ホームページで羽毛布団を注文し、代金を振り込んだが、約束の期日を過ぎても商品が送られてこないので、もう一度ホームページを確認したら閉鎖されていた。

2 インターネット・オークションに関する相談


インターネット・オークションでパソコンを落札し、代金を指定口座に入金したが品物が送られてこない。相手に何回かメールで連絡をしたが、返事がこない。

インターネット・オークションでデジカメを落札し、品物が送られてきたが故障していた。出品者に修理を依頼したいが住所がわからない。

3 違法・有害情報に関する相談


「銀行口座の販売です。サイドビジネスにお使い下さい。各種銀行用意できます。」等と口座販売広告のメールが送られてきた。

ホームページに「日本初入荷。暖かくなる葉っぱあります。精神安定剤代わりにどうぞ。」等と違法な薬物を販売するようなサイトがある。

4 名誉毀損・誹謗中傷等に関する相談


インターネット・オークションで取引した相手が、私の評価欄に「品物はまがいものだ。出品者の人格に問題がある。」等と書き込んだ。オークションサイト運営者に評価欄の削除を依頼したが応じてもらえない。

携帯電話に援助交際申し込みの電話が頻繁にかかるようになった。相手方に尋ねたところ、あるホームページの掲示板に私の携帯電話の番号と援助交際を希望している内容の書き込みがあると言われた。

5 迷惑メールに関する相談


携帯電話に出会い系サイトの広告メールが送られてきたので、受信拒否のメールを送信したがエラーで送信できなかった。

私の携帯電話に広告メールが頻繁に送られてくるが、その中に送信者のメールアドレスが私のアドレスになっているものがある。私のメールアドレスが迷惑メールの発信元となっているのではないか心配だ。

6 不正アクセス、コンピュータウイルスに関する相談


インターネット上の掲示板に、閲覧しただけでウイルス感染するホームページを作ったという書き込みがあった。

オンラインゲームで私が使用しているキャラクターが消去され、パスワードも変更された。

7 その他


企業の無線LANを構築したところ、近隣のものと思われる無線LANスポットに接続できてしまう状態になる。相手方のセキュリティが低いことが原因と思うが、相手方に対策を講じてもらう方法はないか。