官民一体となったテロ対策

1  国際テロ情勢

 ISIL(注1)は、米国を中心とする「対ISIL有志連合」参加国等に対するテロ、あるいは、ナイフ、車両等を使用してテロを実行するよう呼び掛けており、平成29年も、5月の英国・マンチェスターにおける自爆テロ事件、8月のスペイン・バルセロナ等における車両使用テロ事件を始め、ISILによる呼び掛けに影響を受けたとみられるテロ事件が発生しています。

 これらテロ事件の実行犯とISILとの直接的なつながりは明らかになっていないものの、ISILは犯行声明を発出してテロ事件を称賛するとともに、効果的な作戦であるとして推奨するなどして、更なるテロの実行を呼び掛けています。

 また、イラク及びシリアで戦闘に参加していた外国人戦闘員が自国に戻り又は第三国に渡航してテロを行うことなどが懸念されます。さらに、中東、アフリカ及び南アジアにおいて活動するAQ(注2)関連組織が、政府機関等を狙ったテロを行っているほか、オンライン機関誌等を通じて欧米諸国におけるテロの実行を呼び掛けています。

 (注1):Islamic State of Iraq and the Levantの頭字語
 (注2):Al-Qaeda(アル・カーイダ)の略

フランス・パリにおける銃使用テロ事件現場(29年4月)(EPA=時事) 英国・ロンドンにおける車両使用等テロ事件現場(29年6月)(AFP=時事)

2  我が国に対するテロの脅威

 平成27年1月及び2月のシリアにおける邦人殺害テロ事件、28年7月のバングラデシュ・ダッカにおける襲撃テロ事件等、邦人や我が国の権益がテロの標的となる事案が現実に発生していることから、今後も、邦人が被害に遭うことが懸念されます。

 ISILは、オンライン機関誌「ダービク」等において、我が国や邦人をテロの標的として繰り返し名指ししています。AQについても、米国及びその同盟国に対する戦いを標榜(ぼう)し続けており、米国と同盟関係にあり、多くの米国権益を国内に抱える我が国がテロの標的となる可能性は否定できません。

 また、欧米においては、外国人戦闘員やいわゆるホームグローン・テロリストによるテロ事件が発生していますが、我が国にとっても無縁の問題ではありません。我が国においても、ISILに戦闘員として加わるためにシリアへの渡航を企てた疑いのある者、ISIL関係者と連絡を取っていると称する者や、インターネット上でISILへの支持を表明する者が存在しており、ISILやAQ関連組織等の過激思想に影響を受けた者によるテロが日本国内で発生する可能性は否定できません。

 我が国においては、31年にラグビーワールドカップ2019日本大会及びG20大阪サミットの開催が、32年には2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会(以下「東京大会」という。)の開催が予定されています。こうした国際的な大規模行事は、大きな注目を集めることから、テロの攻撃対象となることが懸念されます。

 これらの事情に鑑みれば、我が国に対するテロの脅威は現実のものとなっているといえます。
 

3  警察の取組

 我が国における国際テロの脅威が現実のものとなっている中、警察庁では、平成27年2月、改めて我が国に対するテロの未然防止及びテロへの対処体制の強化に取り組むための諸対策を検討・推進することを任務とする警察庁国際テロ対策推進本部(注)を設置しました。その後、警察庁では同推進本部を中心に諸対策の検討を行い、同年6月、東京大会の開催までのおおむね5年程度を目途として推進していくべき施策を、「警察庁国際テロ対策強化要綱」として取りまとめ、決定・公表しました。

「警察庁国際テロ対策強化要綱」の概要

 
   警察では、同要綱に基づき、情報収集・分析、水際対策や警戒警備、事態対処、官民連携といったテロ対策を強力に推進しているところ、同年11月のフランス・パリにおける同時多発テロ事件の発生を受け、爆発物の原料となり得る化学物質等への対策、ソフトターゲット対策等、各種テロ対策を強化・加速化しています。

(注):警察庁警備局長を本部長として設置されたが、27年6月の警察庁国際テロ対策強化要綱の策定と合わせて、次長を本部長とする体制に発展的に改組した。

→【リンク】 警察庁国際テロ対策強化要綱

→【リンク】 首相官邸(国際組織犯罪等・国際テロ対策推進本部)ホームページ

   「2020年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会等を見据えた
    テロ対策推進要綱」(平成29年12月11日)
   「ソフトターゲットにおけるテロ対策のベストプラクティス」(平成29年1月27日)
 

4  官民一体となったテロ対策の推進

 テロ対策は、警察による取組のみでは十分ではなく、関係機関、民間事業者、地域住民等と緊密に連携して推進することが望まれます。このため、警察では、テロ対策に関する様々な官民連携の枠組みに参画しています。

 例えば、東京都では、平成20年、「テロ対策東京パートナーシップ推進会議」を発足させました。同会議には、警視庁、東京都等の関係機関に加え、電力、ガス、情報通信、鉄道等の重要インフラに関わる事業者や、大規模集客施設を営む事業者等が加入し、「ソフトターゲット」と呼ばれる不特定多数の者が集まる大規模集客施設や公共交通機関等が諸外国においてテロの標的とされる中、「テロを許さない社会づくり」というスローガンの下、テロに対する危機意識の共有や大規模テロ発生時における協働対処体制の整備等が行われています。

 また、テロリストが武器を入手できないようにするための取組も官民の連携によって推進されています。警察では、銃砲刀剣類や火薬等を取り扱う個人や事業者に対し、銃砲刀剣類所持等取締法や火薬類取締法に基づく規制や指導を行っています。さらに、爆発物の原料となり得る化学物質を販売する事業者に対し、関係省庁と協力して、販売時の本人確認を徹底するよう指導したり、不審な購入者への対処要領を教示したりしています。このほか、旅館、インターネットカフェ、賃貸マンション等の事業を営む者に対しても顧客に対する本人確認の徹底等の働き掛けを行い、テロリストによる悪用の防止を図っています。

 テロの未然防止に向けた警察の取組への御理解と御協力をお願いします。

テロ対策パートナーシップ(東京) 爆発物処理訓練(東京)
NBCテロ対処訓練(神奈川) テロ対処訓練(大阪)
避難誘導訓練(埼玉) テロ対処訓練(京都)
テロ対策パートナーシップ合同研修会
(三重)
テロ対策ネットワーク総会
(京都)

5  都道府県警察のテロ対策関連ホームページへのリンク

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