右翼は、領土問題等を捉えた抗議行動のほか、民主党政権の政策等に対する抗議行動を行いました。特に海上保安庁巡視船に対する中国漁船衝突事件を捉え、中国の強硬姿勢や政府の対応に対する執拗な抗議行動を展開しました。

 また、極端な民族主義・排外主義的主張に基づき、外国人参政権反対等を主張する右派系市民グループは、各地で抗議行動を行い、一部に反対勢力とのトラブルもみられました。

 右翼等は、今後も国内外の諸問題を捉え、抗議行動を執拗に行うものとみられ、その過程でテロ等を引き起こすおそれがあります。



右派系市民グループの抗議行動(3月、京都)



 一部の右翼は、街頭宣伝車を用いた大音量で執拗な街頭宣伝活動により、市民生活の平穏を害しています。平成22年中、「糾弾街宣」の対象となった企業は約220社に上り、企業側は、民事保全法に基づき街頭宣伝活動を制限する仮処分を裁判所に申し立てるなどの対処をしています。

 右翼は、今後も悪質な街頭宣伝活動を展開するとともに、取締りや仮処分命令を免れるため、その手法を一層巧妙化させるものとみられます。



街頭宣伝活動を行う右翼団体(8月、和歌山)



■ テロ等重大事件の未然防止

  22年中、「テロ、ゲリラ」事件の発生はなかったものの、右翼団体元構成員が拳銃を所持して参議院議員通常選挙の候補者の街頭演説会場に接近した銃刀法違反等事件(7月)、尖閣諸島問題を捉え、長崎と福岡の各中国総領事館に発煙筒を投てきした軽犯罪法違反事件(9月)が発生し、右翼構成員3人を逮捕しました。

 こうした中、右翼によるテロ等重大事件を未然に防止するため、各種情報収集活動を推進し、拳銃等の銃器摘発に努めた結果、22年中は右翼及びその周辺者から拳銃3丁を押収しました。



街頭宣伝車に対する捜査状況(8月、和歌山)

■ 右翼による違法行為の取締り

 22年中の右翼による違法行為(右翼関係事件)の検挙件数・人員は、1,667件1,757人でした。これらの検挙事件のうち、資金獲得を目的とした恐喝事件等の悪質な犯罪の検挙は284件352人に上り、道路交通法違反を除く全検挙件数(701件)の約40.5%を占めるなど、悪質な資金源犯罪が依然として後を絶ちません。

 また、市民の平穏な生活を害する悪質な街頭宣伝活動に対しては、静穏保持法違反を始め、その内容や形態を捉え、器物損壊罪、暴行罪等を適用し、17件20人を検挙しました。
警察では、引き続き、右翼による違法行為に対して、徹底した取締りを行うこととしています。


悪質な街頭宣伝活動に対する取締り(8月、東京)