国家の全面的な近代化を最重要課題とするロシアは、内政では、天然資源の輸出依存型から製造業の確立を目指す経済改革を進め、外交では、経済の長期的発展を目的に、欧米諸国とのパートナー関係の拡大に取り組んでいます。

 我が国に対しては、ハイテク、インフラ整備、農業技術の普及、製薬・医療機器、省エネ、原子力、航空・宇宙、IT等の分野を重点に、積極的に投資や技術協力を働き掛けています。他方、メドヴェージェフ大統領が、平成22年11月1日、北方領土の国後島を訪問するなど、北方領土の領有権をめぐり強硬な態度を示しています。

 こうした中、米国では、22年6月、ロシア対外情報庁(SVR)のスパイが米国内で非合法の情報収集をしていたとして、米連邦捜査局(FBI)がニューヨーク等に住む男女10人を一斉に逮捕するなど、依然として、ロシア情報機関による違法な情報収集活動が活発に行われている実態が明らかになりました。ロシア情報機関員は、我が国でも違法な情報収集活動を繰り返し行っており、警察は、20年、内閣情報調査室の職員から情報の入手を図った事件を検挙しています。

 警察では、こうした犯罪行為により我が国の国益が損なわれないよう、今後も、違法行為に対して厳正な取締りを行うこととしています。


 
北方領土・国後島で、ソ連時代の砲台前を歩くメドベージェフ・ロシア大統領(ロイター/アフロ)

 
 
米国で摘発されたスパイ事件の容疑者アンナ・チャップマンを報じるインターネット画面(時事)