自然災害の発生と警察の活動

 平成21年中、大雨、台風、地震等の自然災害により、死者70人、行方不明者2人、負傷者664人等の被害が発生しました。主な災害の概要と警察の活動については次のとおりです。

1大雨・台風による被害

1 平成21年7月中国・九州北部豪雨

 7月19日から21日にかけて、山陰沖から近畿地方を通って東海地方に延びる梅雨前線の活発化により、九州北部、中国及び四国地方において、多いところで19日から21日までの3日間の総雨量が300ミリを超えるなど、局地的に激しい雨が降りました。また、24日から26日にかけて、九州北部地方から山陰、北陸地方を通って東北地方に延びる梅雨前線の活発化により、九州北部地方を中心に、多いところで24日から26日までの3日間の総雨量が600ミリを超えるなど、局地的に猛烈な雨が降りました。
 これらの大雨により、死者31人、負傷者61人等の被害が発生しました。
 山口県における土砂災害の発生に伴い、7月22日から27日までの間、広島・岡山・香川の各県警察は、延べ約350人の広域緊急援助隊員を山口県に派遣しました。
 山口・福岡の両県警察を始めとする関係県警察では、警察本部長を長とする災害警備本部等を設置し、被害情報の収集、被災者の救出救助や行方不明者の捜索等の活動を実施しました。
被災者の救出救助活動を行う広域緊急援助隊(7月、山口)
被災者の救出救助活動を行う広域緊急援助隊(7月、山口)

2 台風第9号

 8月8日に日本の南で発生した熱帯低気圧は北上しながら9日21時に台風第9号となり、その後、10日には紀伊半島の南へ進んだ後、東海、関東地方の南を東に進みました。この熱帯低気圧及び台風の周辺の非常に湿った空気の影響で、中国、四国地方から東海地方にかけて、多いところで8日から11日までの3日間の総雨量が750ミリを超える大雨となりました。
 この熱帯低気圧及び台風により、死者25人、行方不明者2人、負傷者24人等の被害が発生しました。
 兵庫県警察を始めとする関係都府県警察では、警察本部長を長とする災害警備本部等を設置し、被害情報の収集、被災者の救出救助や行方不明者の捜索等の活動を実施しました。
行方不明者の捜索活動を行う兵庫県警察機動隊(8月、兵庫)
行方不明者の捜索活動を行う兵庫県警察機動隊(8月、兵庫)

2地震による被害

 8月11日午前5時7分ころ、駿河湾を震源とするマグニチュード6.5の地震が発生し、静岡県伊豆市、焼津市、牧之原市及び御前崎市で震度6弱を記録し、死者1人、負傷者319人等に上る被害が発生しました。
 静岡県警察を始めとする関係都県警察では、警察本部長を長とする災害警備本部等を設置し、被害情報の収集や交通対策等の活動を実施しました。
 警察庁では、警備局長を長とする災害警備本部を、関係管区警察局では災害対策本部等をそれぞれ設置し、必要な措置を講じました。
駿河湾を震源とする地震により崩落した東名高速道路牧之原サービスエリア付近の路肩(8月、静岡)
駿河湾を震源とする地震により崩落した
東名高速道路牧之原サービスエリア付近の路肩(8月、静岡)

3広域緊急援助隊の活動

 平成7年1月に発生した阪神・淡路大震災の教訓を踏まえて、同年6月、全国警察に設置された広域緊急援助隊は、21年中、中国・九州北部豪雨の被災地に派遣されたほか、各地で発生した災害の現場に出動し、被災者の救出救助活動等に当たりました。
 また、いつどこで発生するかわからない災害に備え、広域緊急援助隊は、毎年、管区警察局等の主催で大規模な合同訓練を実施しています。さらに、12都道府県警察(北海道・宮城・警視庁・埼玉・神奈川・静岡・愛知・大阪・兵庫・広島・香川・福岡)に設置している特別救助班(P-REX:Police Team of Rescue Experts)では、平素から廃屋等を利用した実戦的訓練、関係機関との合同訓練等を行い、救出救助能力の向上に努めています。
高所からの救出救助訓練を行う特別救助班(11月、福岡) 廃屋を利用した救出救助訓練を行う特別救助班(11月、静岡)
高所からの救出救助訓練を行う特別救助班(11月、福岡) 廃屋を利用した救出救助訓練を行う特別救助班(11月、静岡)