北海道洞爺湖サミット警備

 平成20年7月7日から9日にかけて、北海道洞爺湖地域において第34回サミット(主要国首脳会議)が開催されました。
G8首脳会議~ザ・ウィンザーホテル洞爺 G8首脳会議~ザ・ウィンザーホテル洞爺 G8首脳会議~ザ・ウィンザーホテル洞爺
G8首脳会議~ザ・ウィンザーホテル洞爺 G8首脳会議~ザ・ウィンザーホテル洞爺 G8首脳会議~ザ・ウィンザーホテル洞爺
G8首脳会議~ザ・ウィンザーホテル洞爺 G8首脳会議~ザ・ウィンザーホテル洞爺 G8首脳会議~ザ・ウィンザーホテル洞爺
G8首脳会議~ザ・ウィンザーホテル洞爺
 今回のサミットでは、G8首脳会議のほか、アフリカ首脳等との拡大会議や主要経済国首脳会議が開催され、実に22カ国の首脳が参加する過去最大の規模となりました。あわせて、6月に京都府で外務大臣会議、大阪府で財務大臣会議が開催されるなど、関係閣僚会議が国内8箇所で開催されました。
 昨今のサミットでは国際テロや過激な反グローバリズム勢力による暴動・妨害行為が発生し、今回のサミットにおいてもその発生が懸念されました。これらの厳しい情勢を踏まえ、警察では、北海道へ約1万6,000人、京都へ約3,100人の特別派遣部隊を派遣し、北海道は約2万1,000人、京都は約6,200人、大阪は約6,000人の体制で警備するなど、全国警察組織の総力を挙げた取組みを推進しました。
 こうした中、反グローバリズムを掲げる団体や過激派による集会やデモ、また右翼の取組み等があり、14人を公安条例違反や公務執行妨害等で逮捕しました。
主要経済国首脳会議に参加したG8・アウトリーチ国首脳執 主要経済国首脳会議に参加したG8・アウトリーチ国首脳執 主要経済国首脳会議に参加したG8・アウトリーチ国首脳執
主要経済国首脳会議に参加したG8・アウトリーチ国首脳執 主要経済国首脳会議に参加したG8・アウトリーチ国首脳執 主要経済国首脳会議に参加したG8・アウトリーチ国首脳執
主要経済国首脳会議に参加したG8・アウトリーチ国首脳執 主要経済国首脳会議に参加したG8・アウトリーチ国首脳執 主要経済国首脳会議に参加したG8・アウトリーチ国首脳執
主要経済国首脳会議に参加したG8・アウトリーチ国首脳執
 警察は、このサミット警備期間中、テロや暴動等を封圧し、首脳等の身辺の安全と会議の円滑な遂行を確保して任務を完遂しました。

1警備諸対策

 19年7月、警察庁に「北海道洞爺湖サミット等警備対策委員会」を設置したほか、北海道、京都府及び大阪府警察にサミット対策課を設置するなど、すべての都道府県警察がサミットに向けた態勢を確立し、全国警察が一体となって諸対策を推進しました。
 今回のサミット警備では、基本方針として国内外要人の身辺の安全と行事の円滑な遂行の確保、国際テロの未然防止、記者団や随員等の安全かつ円滑な移動の確保を掲げました。
フランス・サルコジ大統領の警護状況
フランス・サルコジ大統領の警護状況
 この基本方針に基づいて、警察では、過激な反グローバリズム勢力によるデモや暴動に対処するため、複数の都道府県警察が合同する実戦的訓練等を行い、部隊の練度向上に努めました。また、テロ等を未然に防止するため、行政機関や重要インフラ関係事業者と緊密に連携して、協議会や実戦的訓練を行うなど、官民を挙げた取組みを推進しました。
 さらに、サミット警備を円滑に進めるため、適時・適切な広報を行うとともに、あらゆる機会を通じて、関係市町村長等や住民の代表者との協議を行うなどして、警備に対する地元住民の理解が得られるよう努めました。

2国際テロ対策

 テロリストの入国を阻止するため、外国治安情報機関と一層緊密に連携するとともに、テロ関連情報の収集・分析を強化したほか、19年11月に導入された外国人個人識別情報認証システム(BICS)を活用するなどして、関係機関と共に、国際空港・港湾における水際対策を強化しました。
 テロの標的とされるおそれのある公共交通機関等に対して、警戒の強化を呼び掛けるとともに、テロに関する不審情報を確実に入手するため、テロリストが犯行の準備段階で利用するおそれのある爆発物原材料取扱業者、旅館・ホテル業者、不動産業者等に対して、広く警察への協力を呼び掛けました。また、ハイジャック防止のため、警察官が旅客機に搭乗するスカイ・マーシャルを増強しました。
 さらに、航空法に基づいて、サミット会場を中心とする半径25海里(約46㎞)の飛行制限区域が設定され、ハイジャックした航空機によるテロ等を防止するための措置も講じられました。
新千歳空港での警戒
新千歳空港での警戒

3反グローバリズム運動に伴う違法行為対策

 サミット開催に伴って、札幌市内や会場周辺では、反グローバリズムを掲げる国内外の団体が集会やデモ等の抗議行動を行いました。
 最大規模となった7月5日の札幌市内のデモには、主催者発表で約5,000人が参加しましたが、警察部隊による適切なデモ警備により、大規模な暴動や道路封鎖等の妨害行動に発展しませんでした。
反グローバリズムを掲げる団体によるデモ行進(7月、北海道)
反グローバリズムを掲げる団体によるデモ行進(7月、北海道)

4過激派対策

 革マル派、中核派、統一共産同盟等は、7月4日から9日にかけて、北海道に延べ約1,370人を動員し、「サミット反対闘争」に取り組みました。また、外務大臣会議を始めとする関係閣僚会議の開催に対しては、延べ約960人が抗議行動を行いました。こうした中、中核派は6月29日、都内渋谷区において、過激派による「サミット反対闘争」の中では最大規模となる約1,060人を動員し、「サミット粉砕」を訴える集会やデモに取り組みました。このデモ行進中、警備に当たっていた機動隊員に対して、暴行を加えるなどした活動家ら8人を公務執行妨害罪等で逮捕しました。
 警察は、過激派の非公然アジトを発見するため、国民に協力を呼び掛けるとともに、全国の活動拠点を捜索するなどした結果、19年7月からサミット終了までの約1年間に、過激派活動家ら96人を検挙しました。
 こうした取組みにより、北海道警察を始めとする関係都道府県警察は、過激派による「テロ、ゲリラ」事件等の重大不法事案の発生を完全に封圧しました。
過激派によるデモ行進 (7月、北海道) 過激派によるデモ行進(6月、東京)
過激派によるデモ行進 (7月、北海道) 過激派によるデモ行進(6月、東京)

5右翼対策

 右翼は、領土問題等をとらえてロシアや中国、韓国を、また、「ヤルタ・ポツダム体制」打倒の観点から米国を、それぞれ各国要人の来日に合わせて、執拗に批判しました。
 北海道では、約90団体、約145人が、街頭宣伝車約20台を動員して街頭宣伝活動を行ったほか、約30団体、約40人が、会場や要人の宿泊地等への接近を企てたり、その周辺を執拗に徘徊しました。また、関係閣僚会議では、大阪府と京都府で延べ約10団体、約10人がハンドマイク等を使用して街頭宣伝活動を行ったほか、約10団体、約10人が、会場周辺等を徘徊しました。
 警察では、こうした右翼の活動に対して、警戒活動の強化等様々な対策を行い、違法行為を未然に防ぎました。
街頭宣伝車による右翼の抗議行動(7月、北海道) 街頭宣伝車による右翼の抗議行動(7月、北海道) 街頭宣伝車による右翼の抗議行動(7月、北海道)
街頭宣伝車による右翼の抗議行動(7月、北海道) 街頭宣伝車による右翼の抗議行動(7月、北海道) 街頭宣伝車による右翼の抗議行動(7月、北海道)
街頭宣伝車による右翼の抗議行動(7月、北海道) 街頭宣伝車による右翼の抗議行動(7月、北海道) 街頭宣伝車による右翼の抗議行動(7月、北海道)
街頭宣伝車による右翼の抗議行動(7月、北海道)

6サイバーテロ対策

 サミット開催に伴い、サミット関連施設に電力、通信等を供給している基幹システムに対してサイバー攻撃が行われるなどの事案の発生が懸念されました。そこで、警察では、電力会社等の重要インフラ事業者に加えて、サミット関連施設やサミットの円滑な進行に重大な影響を及ぼすと考えられる事業者等と緊密な連携を図り、基幹システムの安全確保等について必要な助言を行いました。
 また、万が一、サイバーテロが発生した際に的確に対処することができる態勢を確立するため、すべての都道府県警察において、重要インフラ事業者等との共同訓練を実施したほか、サミット開催期間中は、サイバーテロ対策専従員が、24時間体制で監視を行いました。
サイバーテロ対処訓練(4月、北海道) サイバーテロ対処訓練(4月、北海道) サイバーテロ対処訓練(4月、北海道)
サイバーテロ対処訓練(4月、北海道) サイバーテロ対処訓練(4月、北海道) サイバーテロ対処訓練(4月、北海道)
サイバーテロ対処訓練(4月、北海道) サイバーテロ対処訓練(4月、北海道) サイバーテロ対処訓練(4月、北海道)
サイバーテロ対処訓練(4月、北海道)