厳しい情勢の中での警衛・警護等警備の実施

　平成20年中、天皇皇后両陛下は、第59回全国植樹祭（6月、秋田）、第28回全国豊かな海づくり大会（9月、新潟）、第63回国民体育大会（9月、大分）を始め、日本ブラジル交流年・日本人ブラジル移住100周年にちなむ御訪問（4月、群馬）、源氏物語千年紀記念式典御臨席（10月、奈良・京都）、スペイン王国国王陛下及び王妃陛下御案内（11月、茨城）等のため行幸啓になりました。
　皇太子殿下は、第19回全国「みどりの愛護」のつどい（4月、山口）、平成20年度全国高等学校総合体育大会（7月、埼玉）、第32回全国育樹祭（10月、愛媛）等の各種の行事・式典への御臨席のため行啓になりました。
　海外へは、皇太子殿下が、2008年サラゴサ国際博覧会御臨席等のためスペイン王国（7月）を御訪問になるなど、皇族方が計5回御訪問又は御旅行になりました。
　警察では、皇室と国民との親和に配意した警衛警備を実施し、御身辺の安全確保と歓送迎者の雑踏事故防止を図りました。

1外国要人

　7月7日から9日にかけて、北海道洞爺湖地域においてサミットが開催され、21カ国の首脳が来日したほか、4月から6月にかけて、国内8箇所7都府県で関係閣僚会議が、5月には横浜市において第4回アフリカ開発会議、12月には福岡県太宰府市において日中韓首脳会議が開催され、国外から多数の要人が出席しました。北海道警察を始めとする関係警察では、所要の警護警備諸対策を推進して身辺の安全と会議の円滑な進行を確保しました。
　また、20年中は、国賓として胡錦濤中国国家主席夫妻（5月）、カルロス一世・スペイン王国国王陛下及び王妃陛下（11月）が来日したのを始め、公賓として潘基文国連事務総長夫妻（6月）、英国皇太子殿下及びコーンウォール公爵夫人（10月）、公式実務訪賓客として李明博韓国大統領夫妻（4月）、シン・インド首相夫妻（10月）等が来日しました。これに伴い、警視庁等関係警察では、所要の警護警備を実施し、身辺の安全を確保しました。

2国内要人

（1）自民党総裁選挙に伴う警護警備
　福田首相（当時）の辞任に伴う自民党総裁選挙は9月10日告示、22日投開票の日程で施行され、石原元自民党政調会長、小池元防衛相、麻生自民党幹事長、石破前防衛相及び与謝野経済財政担当相の5氏が立候補し、16都道府県17箇所において所見発表街頭演説会を行いました。
　関係警察では、右翼によるテロ等の発生が懸念される厳しい情勢の下、雑踏警備対策にも配意した的確な警護警備諸対策を推進し、立候補者等の身辺の安全を確保しました。

（2）首相警護
　福田首相（当時）は、20年中、国際テロの脅威が依然として高い中、ダボス会議出席等に伴うスイス訪問（1月）、大統領就任式出席等に伴う韓国訪問（2月）、ロシア訪問（4月）、食糧サミット出席等に伴うドイツ、英国及びイタリア訪問（6月）、北京オリンピック開会式出席等に伴う中国訪問（8月）を行いました。
　また、麻生首相は、国連総会出席等に伴う米国訪問（9月）、ASEM出席等に伴う中国訪問（10月）、金融問題に関する首脳会合出席等に伴う米国訪問（11月）、APEC出席等に伴うペルー訪問（11月）を行いました。
　警察では、関係国の警護当局との緊密な連携の下、的確な警護措置を実施し、身辺の安全を確保しました。

　4月26日、長野市内において「北京2008オリンピック聖火リレー〈長野〉」が行われました。この聖火リレーをめぐっては、長野での開催の直前、英国やフランスなど各国において、チベット問題等中国の国内事情から派生する諸問題に抗議し、聖火リレーへの妨害活動が激化しており、我が国においても同様の抗議・妨害活動の発生が見込まれました。また聖火リレーは、このような情勢下において各国を順に巡ったこともあり、我が国の聖火リレー警備に全世界の注目が集まりました。
　警察では、「聖火リレーの安全な進行と関係者の安全確保」、「観客及び周辺住民の安全と平穏の確保」を基本方針として、管轄の長野県警察に加え、警視庁機動隊や関東管区機動隊等を動員して約3,000人態勢で警備に当たりました。
　当日は、数件の聖火リレーに対する妨害事案や意見の違いなどをめぐる小競り合いが発生したものの、適切な警備措置を講じ、聖火リレーの安全な進行と関係者等の安全確保を図った結果、大きな混乱もなく聖火リレーは終了しました。