党勢の拡大をアピールした日本共産党

1約1年4ヶ月で1万4,000人の新入党員を獲得と強調

 平成20年7月に開催された第6回中央委員会総会(以下「6中総」という。)で、志位和夫委員長は、党員拡大について、「19年9月の第5回中央委員会総会(以下「5中総」という。)後、9,000人近い党員を拡大」と報告しました。これを受けて、マスコミは、「共産党員「9,000人増えた」」、「「蟹工船」追い風」と、また、9,000人の構成について、「2割が30歳以下の青年で、60歳以上の高齢者も2割を占める」などと、それぞれ報じました。その後、21年1月6日付け「しんぶん赤旗」は、5中総後の新入党員が1万4,000人となったことを明らかにしました。
 日本共産党は、新入党員の入党理由について、20年8月2日付け「しんぶん赤旗」で、非正規雇用問題を取り上げた2月8日の志位委員長の国会質問や、7月22日の党創立86周年記念講演会での同委員長の講演内容、さらに、日本共産党が主張する、いわゆる後期高齢者医療制度の廃止等、同党の政策等に共鳴して入党したとする事例を紹介しています。
 日本共産党は、党勢の拡大を図るため、独自の政策をアピールするなどして、引き続き新入党員の獲得を強力に進めていくものとみられます。
(共同)
(共同)

2若手幹部の育成、民青同への援助を強化

 日本共産党は、2月と8月、静岡県熱海市にある伊豆学習会館に、全国の党機関と党本部から68人を集め、「若い機関幹部の計画的・系統的養成」を目的とした「特別党学校」(第2期)を開催しました。これは、18年に開催した第1期(受講生83人)に引き続くものであり、不破哲三前議長、志位委員長等の党最高幹部が講師を務め、「綱領」、「科学的社会主義」等の講義が行われました。同学校責任者の浜野忠夫副委員長は、講義終了後の交流会で、「我が党の将来は大丈夫だと確信した。特別党学校は十分役割を発揮して成功した」などと述べ、その成果を強調しました。
 また、日本共産党は、6中総で、日本民主青年同盟(以下「民青同」という。)について、「現在の党を支える中心的な活動家等の多くは、民青同で青春期を過ごした人々。民青同の前途は党と進歩的事業の未来にとって極めて重要な意義を持つ」として、日本共産党と民青同の共同事業として、「若者の中に強大な民青同」を作ることを強調しました。その援助策として、「すべての党地区委員会が、対応する民青同地区委員会の再建のために力を尽くすこと」を呼び掛けました。
 日本共産党は、党員の高齢化に対応するため、民青同を通じた同盟員・若手党員の獲得を図るとともに、将来の党幹部の育成を継続していくものとみられます。
志位委員長による報告(共同) 志位委員長による報告(共同) 志位委員長による報告(共同)
志位委員長による報告(共同) 志位委員長による報告(共同) 志位委員長による報告(共同)
志位委員長による報告(共同) 志位委員長による報告(共同) 志位委員長による報告(共同)
志位委員長による報告(共同)

3党運営への影響力を保持しつつ、理論面に重点を置いて活動した不破前議長

 不破前議長は、18年1月の第24回党大会で議長職を引退したものの、「知力と体力がある限り、党の発展に力を尽くすことは、共産主義者としての義務であり、責任である」として、日本共産党の最高指導機関である常任幹部会にとどまりました。不破前議長は、週1回開催される常任幹部会には、必ず出席しているとされているほか、「特別党学校」の講師、党中央月刊誌「前衛」への論文連載、ベトナム共産党との理論会談では日本共産党代表団の団長を務めるなど、党運営への影響力を保持しつつ、理論面に重点を置いて活動しました。
 不破前議長は、現在、78歳と高齢であり、議長退任から3年を迎えます。開催が延期された第25回党大会では、現在の常任幹部会委員及び社会科学研究所長といった地位を維持したまま、党内にとどまり続けるのか、それとも、何らかの進退を表明するのか、その動向が注目されます。

4憲法闘争、貧困と格差の是正、平和の実現を最重要課題として取り組む全労連

 日本共産党の指導・援助により結成された全国労働組合総連合(以下「全労連」という。)は、20年7月の第23回定期大会において、「憲法を職場と地域に生かすことを基調に、「なくせ貧困運動」、「住み続けたい地域運動」、「戦争をしない・参加しない運動」を展開する」ことを今後2年間の運動方針として決定しました。また、派遣やパート労働者の地位向上の取組みを支援する「非正規雇用労働者全国センター」を正式に発足させたほか、組織化のための財源として「組織拡大推進費」を新設するなど組織拡大への体制づくりを確認しました。
 全労連は、今後も、引き続き前記方針に基づき、憲法改正等の課題について、他の労働組合に対して共同行動を呼び掛けるとともに、非正規雇用・未組織労働者の組織化を中心に組織拡大に取り組むものとみられます。