我が国の治安を脅かす不法入国・不法滞在事犯

1巧妙化・潜在化する不法入国・不法滞在事犯

 近年、偽造旅券の行使等による不法入国事犯が高い水準で推移しています。特に最近は、退去強制歴を有する外国人が、ブローカーと共謀し、日本国旅券を譲り受け、指紋認証の必要がない日本人になりすます事案にみられるように、その質の面において、悪質・巧妙化の傾向にあります。
 また、不法滞在事犯も後を絶ちません。最近の検挙事例では、不法滞在者の雇用主が、不法滞在者を工場の敷地内に居住させたり、稼働先と住居の間を車両で送迎するなど、摘発を免れるための対策を講じている場合が多いことが判明しています。さらに、不法滞在を助長する犯罪についても、偽造技術の向上により精巧な各種証明書が出回るなど、犯行手口・形態が悪質・巧妙化してその摘発が困難になっています。
合同摘発の状況(12月、神奈川)
合同摘発の状況(12月、神奈川)

2不法滞在者に対する取締りの強化

 我が国に存在する不法滞在者(不法残留者、不法入国者及び不法上陸者)の数は、平成20年1月現在で、約17万人とされており、依然として高い水準で推移しています。 
 こうした不法滞在者の中には、犯罪に手を染めるようになる者もいることから、警察の各部門の総力を結集した取締り体制を構築し、入国管理局との合同摘発や集中取締りを積極的に実施しています。この結果、20年中における入管法違反の送致人員と入管法65条による入国警備官への引渡し人員の合計は、9,715人となりました(暫定値)。
 警察では、今後も、関係機関と緊密に連携し、不法滞在者摘発のため、入管法65条に基づく入国警備官への引き渡しを積極的に推進するとともに、不法滞在等を助長する文書偽造等悪質な事案に対する取締りを強化することとしています。
押収した偽造外国人登録証明書等(3月、東京)
押収した偽造外国人登録証明書等(3月、東京)