はじめに

 平成20年は、11月にインド最大の都市ムンバイにおいて、邦人1人を含む約160人が死亡、邦人1人を含む約290人が負傷する連続テロ事件が発生するなど、国際テロ情勢は依然として厳しいまま推移しました。
 北朝鮮は、8月の日朝実務者協議において拉致被害者に関する再調査の具体的態様について合意したにもかかわらず、政権交代を理由に再調査を棚上げしたほか、我が国の対北朝鮮措置等を激しく非難しました。この間、金正日国防委員長の健康悪化説が喧伝され、その動向に注目が集まっています。ロシアは、5月に就任したメドヴェージェフ大統領が、プーチン路線を継承して大国主義を前面に出し、8月にグルジアに侵攻するなど強硬な姿勢を示しました。北京オリンピックを華やかに開催した中国は、地方住民による抗議行動の顕然化など内政面に問題を抱えながらも、中国国内外において様々な手段を用いて先端科学技術の情報収集を続けました。
 国内では、過激派が大衆運動や労働運動を通じて組織の維持・拡大を企図し、各種の集会やデモに取り組み、革労協主流派と同反主流派が、それぞれ飛翔弾を発射する「テロ、ゲリラ」事件を引き起こしました。右翼は、領土問題等をとらえ関係国首脳来日の際等に、執拗に抗議活動を行いました。また、6月には岩手・宮城内陸地震が発生したほか、平成20年8月末豪雨を始めとする突発的な豪雨が各地で発生するなど、相次ぐ自然災害により大きな被害が発生しました。
 こうした中、7月7日から9日にかけて、北海道洞爺湖地域においてサミットが開催されるとともに、4月から6月にかけて関係閣僚会議が国内8箇所で開催されました。警察は、その総力を挙げて万全の態勢で警備に臨むとともに、警備に対する国民の理解と協力を得て、首脳等の身辺の安全と会議の円滑な進行の確保という課せられた任務を完遂しました。
掲載内容は、特に記載のある場合を除いて、平成20年12月末現在のものです。

北海道洞爺湖サミットの警戒に当たる警察官 北海道洞爺湖サミットの警戒に当たる警察官 北海道洞爺湖サミットの警戒に当たる警察官
北海道洞爺湖サミットの警戒に当たる警察官 北海道洞爺湖サミットの警戒に当たる警察官 北海道洞爺湖サミットの警戒に当たる警察官
北海道洞爺湖サミットの警戒に当たる警察官