参院選で後退し、次期衆院選に向け新方針を打ち出した日本共産党

1統一地方選における「選挙闘争」結果

 日本共産党は、平成19年4月に行われた第16回統一地方選挙において、道府県議選(東京都、茨城県及び沖縄県を除いた44道府県で実施)では、定数2,544人(前回比90人減)に対して公認候補者310人(前回比76人減)を擁立し、100人(前回比7人減)が当選しました。
 政令市議選では、選挙実施市が前回の12市から14市へ2市増え、定数が928人(前回比97人増)となる中、日本共産党の当選者は119人(前回比15人増)でした。
 市区町村議選では、自治体合併のため、選挙実施自治体数及び定数が前回からほぼ半減する中、日本共産党の当選者は336市区議選で907人(前回比161人減)、451町村議選で376人(前回比563人減)でした。
 日本共産党は、統一地方選の結果について、「全体として善戦・健闘」(同年4月24日付け「しんぶん赤旗」)と評価しました。

2参院選における「選挙闘争」結果

 日本共産党は、19年7月に行われた第21回参議院議員通常選挙において、参議院議員9人中5人(東京選挙区1人、比例代表4人)が改選となり、沖縄選挙区を除く46選挙区に各1人及び比例代表に17人の公認候補者を擁立しましたが、当選者は比例代表のみの3人(改選比2人減)に後退しました。
 日本共産党は、16年と19年の2回の参院選において、選挙区で全敗したことから、参議院での選挙区議席をすべて失いました。
特に東京選挙区は、野坂参三元議長、上田耕一郎前副委員長、緒方靖夫副委員長等によって、昭和31年から51年間議席を維持してきた選挙区でした。
 日本共産党は、参院選の結果について、19年9月に開催した第5回中央委員会総会で、「比例代表で、前回、前々回の参院選の到達点を基本的に維持する440万票を獲得したことは貴重」と評価する一方で、参院選からの「最大の教訓」として、「「二大政党づくり」の動きを押し返し、選挙で前進・勝利するには、我が党は自力があまりに不足している。ここに最大の弱点がある」と、党員・機関紙読者の拡大等に向けた取組みの強化を強調しました。
参院選で議席が伸びず厳しい表情で記者会見する志位委員長(時事)
参院選で議席が伸びず厳しい表情で記者会見する志位委員長(時事)

3次期衆院選に向けた新方針を決定

 日本共産党は、第5回中央委員会総会で、次期衆議院議員総選挙における小選挙区候補者の擁立について、全小選挙区への擁立を目指すとの従来の方針を見直し、「19年参院選比例代表での得票率が8%以上で、日常的、系統的に活動できる力量のある候補者を擁立できる小選挙区」、「各都道府県で1つ以上の小選挙区」を目安に擁立するという新たな方針を打ち出しました。候補者を擁立しない小選挙区では、比例代表選挙に力を集中するとしました。
 その理由について、志位委員長は、「従来の方針のままでは、多額の供託金没収等による財政圧迫等の点で、党組織と党活動に過重な負担をかけ、総合的に考えてマイナスが大きい」と述べました。
 日本共産党の方針変更は、間接的に民主党等の野党に有利に働くものとみられ、日本共産党が、どの小選挙区で候補者の擁立を見送るのかが注目されています。
日本共産党の新方針を報道する各紙(9月9日付け毎日新聞、読売新聞)
日本共産党の新方針を報道する各紙(9月9日付け毎日新聞、読売新聞)

4宮本顕治元議長の死去

 日本共産党の名誉役員である宮本顕治元議長が、19年7月18日、老衰のため98歳で亡くなりました。宮本氏は、昭和33年の第7回党大会で書記長に就任後、平成9年の第21回党大会で引退するまで、約40年間にわたって実質的な党の最高指導者であり続け、現綱領路線を確立するなど現在の党の路線や組織を築きました。
 しかし、宮本氏は、第一線を退いて久しく、同氏の死亡が、日本共産党の路線等に与える影響はほとんどないものとみられます。
宮本顕治元議長の党葬であいさつする志位委員長(8月、東京)(時事)
宮本顕治元議長の党葬であいさつする志位委員長(8月、東京)(時事)

5憲法闘争、格差・貧困の是正を最優先課題として取り組む全労連

 日本共産党の指導・援助により結成された全労連(全国労働組合総連合)は、19年8月の第41回評議員会において、「憲法闘争を戦後史をかけた正念場のたたかいとし、すべての課題に優先する運動と位置づけた大会方針(第22回定期大会)の実践に全力をあげる」、「賃金改善、格差と貧困の是正をめざす国民的な運動の発展に奮闘する」などと報告しました。全労連は、今後も、引き続き前記方針に基づき、憲法改正反対、賃金改善等の課題について、他労組等に対する呼び掛けを行い、共同行動に取り組むとともに、第22回定期大会で決定された「全労連組織拡大強化・中期計画」を推進するため、非正規雇用・未組織労働者の組織化を中心に組織拡大に取り組むものとみられます。