国内外の諸問題に活発に取り組んだ右翼

1時局問題や領土問題をとらえた活発な抗議活動

 右翼は、政治、外交、領土、歴史等の諸問題をとらえて、関係国や我が国政府等に対する抗議活動を活発に行いました。
 特に、平成19年は、靖国神社をめぐる議論や従軍慰安婦に関する議論の盛り上がりを背景として、これらの問題等をとらえた活動を活発に行いました。
 このほか、日本の排他的経済水域内における中国海洋調査船の調査活動等をとらえた中国批判や、領土問題をとらえた韓国、ロシア批判も継続して行いました。
 右翼は、今後も国内外の諸問題に敏感に反応して、関係国や我が国政府等に対する抗議活動を活発に展開するものとみられ、その過程で、政党要人、政府機関、外国公館、報道機関等に対し、テロ等重大事件を引き起こすおそれがあります。
街頭宣伝活動に取り組む右翼団体(8月、広島)
街頭宣伝活動に取り組む右翼団体(8月、広島)

2市民生活の平穏を害する街頭宣伝活動

 一部の右翼は、企業等に対する「糾弾活動」と称して、街頭宣伝車を用いて大音量で執ような街頭宣伝活動を行い、騒音被害や交通渋滞を引き起こすなど、市民生活の平穏を害しています。
 19年中、このような街頭宣伝活動の対象となった企業は、約150社に上りました。これに対し、企業側では、民事保全法に基づき街頭宣伝活動を制限する仮処分命令を裁判所に申し立てるなどしています。
 右翼は、今後も悪質な街頭宣伝活動を展開するとともに、取締りや仮処分命令を免れるため、その手法を一層巧妙化するものとみられます。

3違法行為の徹底検挙

 右翼は、時局問題等をとらえて活発に活動しており、その過程において「テロ、ゲリラ」事件を敢行しているほか、資金獲得活動や街頭宣伝活動に伴う事件を多数引き起こしています。

1テロ等重大事件の未然防圧

  19年中は、「社民党宮城県連合事務所における暴処法違反等事件」(3月、宮城)、「防衛省に対する火炎びん処罰法違反等事件」(7月、警視庁)の2件の「テロ、ゲリラ」事件が発生し、右翼構成員2人を逮捕したほか、18年7月に発生した「テロ、ゲリラ」事件(「日本経済新聞社に対する火炎びん処罰法違反事件」(警視庁))で、自称右翼団体代表1人を逮捕しました。
 このほか、右翼によるテロ等重大事件を未然防圧するため、各種情報収集活動を推進し、けん銃等の銃器摘発に努め、19年中は、右翼及びその周辺者からけん銃等16丁を押収しました。
街頭宣伝車に対する取締り状況(8月、東京)
街頭宣伝車に対する取締り状況(8月、東京)

2右翼による違法行為の取締り

 19年中の右翼による違法行為の検挙件数及び人員は、1,752件2,018人で、18年中の1,686件2,021人と比較してほぼ横ばい状態で推移しています。
 これらの検挙事件のうち、右翼運動に伴って発生した事件の検挙は、147件259人で、全検挙件数の約8.4%に過ぎない中、資金獲得を目的とした恐喝事件や詐欺事件等の検挙は、396件596人で、道路交通法違反を除く全検挙件数の約42.4%を占めるなど、悪質な資金獲得活動に伴う犯罪が依然として後を絶ちません。
 また、右翼運動に伴う活動のうち、市民の平穏な生活に支障を来すような悪質な街頭宣伝活動に対しては、その内容や形態をとらえ、名誉毀損、威力業務妨害、暴力行為等処罰ニ関スル法律違反等により、43件59人を検挙しました。
 警察としては、引き続き、平穏な市民生活を脅かす違法行為に対しては、徹底した取締りを図っていくこととしています。
右翼関係事件の検挙状況
右翼関係事件の検挙状況