はじめに

 平成19年は、12月にパキスタンにおいてブット元首相に対する銃撃・爆弾テロ事件が発生するなど、世界各地でテロ事件が発生し、国際テロ情勢は依然として厳しいまま推移しました。
 北朝鮮は、6者会合等を通じて核問題の解決に向けた一定の「歩み寄り」を示し、韓国や米国との個別の協議に応じる姿勢をとる一方で、拉致問題については「解決済み」との姿勢を変えず、「日本は過去の清算をすべき」との主張を繰り返し、我が国政府による対北朝鮮措置や朝鮮総聯に関する事件捜査等をとらえて激しく非難しました。中国は、公館員、研究者、国費留学生等を通じて、軍事転用可能な先端科学技術に関する情報収集を巧妙かつ多様な手段で行い、ロシアは対外情報庁長官に前首相を任命して、諜報機関を国益拡大のために重用する姿勢を明らかにしました。
 国内では、3月に「アーレフ」からの脱会を表明した上祐史浩代表が、5月に新団体を設立したことにより、オウム真理教は主流派と上祐派に分裂しました。右翼は、領土問題、靖国問題、従軍慰安婦問題等をとらえて活発な抗議活動に取り組み、その過程で2件の「テロ、ゲリラ」事件を引き起こしました。過激派は、組織の内紛を抱えながらも、大衆運動や労働運動を通じて組織の維持・拡大を企図し、国民投票法の制定や自衛隊の海外派遣等をとらえて抗議集会やデモに取り組み、革労協反主流派は、2月に米軍基地に飛翔弾を発射する「テロ、ゲリラ」事件を引き起こしました。また、3月に能登半島地震、7月に新潟県中越沖地震が発生するとともに、7月の大雨と9月の台風第11号及び前線による大雨により多くの被害が発生しました。
 こうした中、警察は、国内外の関係機関等と緊密に連携しつつ、テロ関連情報の収集、テロリストの追及検挙、重要施設や公共交通機関等の警戒警備を推進するとともに、災害発生時において迅速かつ的確な救出救助活動を行うなど、総力を挙げて警備諸対策に取り組みました。
掲載内容は、平成19年12月末現在のものです(特に記載の場合を除く。)。

新潟県中越沖地震において救出救助活動を行う特別救助班(7月、新潟)
新潟県中越沖地震において救出救助活動を行う特別救助班(7月、新潟)