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一 イスラム過激派の動向と国際テロの脅威 平成一八年の国際テロ情勢は、依然として厳しいまま推移しました。一三年九月一一日の「米国における同時多発テロ事件」以降、世界各国でテロ対策が強化されている一方で、英国において大規模なテロ計画が摘発されたほか、インド、エジプト等世界各地でイスラム過激派の関与が疑われる大規模・無差別テロ事件が発生しました。 二 我が国への国際テロの脅威 イスラム過激派を中心とした国際テロの脅威が高まる中、我が国は、アル・カーイダを始めとするイスラム過激派から米国の同盟国とみなされており、オサマ・ビンラディンやアイマン・アル・ザワヒリとされる者が発した声明等において、テロの標的として名指しされています。また、我が国には、イスラム過激派がテロの対象としてきた米国関連施設が多数存在し、これらを標的としたテロが発生することも懸念されます。 三 日本赤軍及び「よど号」グループ等の動向 (一)日本赤軍 |
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ムンバイにおける同時多発列車爆破テロ事件(7月、インド)(時事) | |||
爆破されたシーア派の聖廟(2月、イラク)(時事) | |||
治安改善の見通しが立たないイラク(時事) | |||
アル・カーイダのビデオ声明に登場した米国人テロリスト(7月)(時事) | |||
我が国に潜伏していたアル・カーイダ関係者(時事) | |||
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一 情報収集と捜査の徹底等 国際テロは発生すれば多くの犠牲が出ることから、対策の要諦は、その未然防止にあります。そのためには、外国治安情報機関等との情報交換をするなど、幅広い情報を収集し、それを的確に分析して諸対策に活用することが不可欠です。また、テロは極めて秘匿性の高い行為であり、テロの実行に向けた準備は秘密裏に行われるため、収集される関連情報のほとんどは断片的なものです。このため、個々の情報からのみではその真偽や情報としての価値を判断することが困難であり、情報の蓄積と総合的な分析が必要となります。 二 水際対策の強化 周囲を海に囲まれた我が国では、国際空港・港湾において出入国審査、輸出入貨物の検査等の水際対策を的確に推進することが重要です。政府は、一六年一月、内閣官房に空港・港湾水際危機管理チームを設置し、関係行政機関等が行う水際対策の強化に必要な調整を図っています。また、国際空港・港湾に配置された空港・港湾危機管理(担当)官を中心に、関係機関が連携して各種訓練の実施、施設警備に係る改善等に取り組み、多くの成果を上げています。 三 関係省庁との緊密な連携 テロ対策に万全を期するため、警察では、関係省庁との緊密な連携に努めています。 四 重要施設等の警戒 警察では、原子力発電所や内閣総理大臣官邸等我が国重要施設、米国関連施設、鉄道等公共交通機関等に対し、効果的かつ効率的な警戒警備を実施しています。 五 生物化学テロ対策 警察では、生物化学テロの未然防止を図るため、関連物質の不自然な取引等に関する情報収集、盗難防止対策等の指導、生物・化学剤の空中散布に使用されるおそれのある小型航空機の盗難防止対策、保健・医療機関等との緊密な連携等を推進しています。 六 特殊部隊等の充実強化 警察では、ハイジャック、重要施設占拠事案等の重大テロ事件等の際に出動し、これを鎮圧するための特殊部隊 (SAT:Special
Assault Team) を八都道府県警察(北海道、警視庁、千葉、神奈川、愛知、大阪、福岡、沖縄)に設置しています。SATは、ライフル銃、自動小銃、特殊閃光弾、ヘリコプター等を保有し、実戦的な訓練を重ね、部隊活動能力の充実強化に努めています。 七 スカイ・マーシャルの運用 警察では、一六年一二月に開催された国際組織犯罪等・国際テロ対策推進本部の決定を踏まえ、ハイジャック対策を強化するため、国土交通省等の関係省庁や航空会社と緊密に連携して、スカイ・マーシャルの的確な運用を図っています。 八 武力攻撃事態等への対処 武力攻撃事態等や緊急対処事態への対処については、平素からの備えが重要であることから、都道府県警察は、武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律に基づく都道府県や市町村の国民保護計画の作成・変更作業に積極的に参画しています。 九 サイバーテロ対策 情報システムや情報通信ネットワークが国民生活や社会経済活動に深く浸透している状況の下、多数のウェブサーバに対してサイバー攻撃が敢行される事案が発生しています。これらのサイバー攻撃が重要インフラ事業者等の基幹システムに対して行われれば、国民生活や社会経済活動に大きな被害を与える可能性があります。 一〇 国際協力の推進に向けた取組み 国際テロ対策は、国際社会が直面する重要かつ喫緊の課題であり、世界各国の連携・協力が必要です。こうした観点から、G8や国連等の場において、政府首脳間、治安担当大臣間、警察機関相互間等で諸対策の活発な議論がされています。警察庁も、これら国際会議に積極的に出席しており、一八年六月にロシアで開催された「G8司法内務閣僚会合」には、警察庁次長が出席し、テロ対策や国際組織犯罪対策についての我が国の取組み状況を発表するとともに、共同声明や行動計画の起草に参画しました。 |
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自衛隊との共同実動訓練(四国) | |||
JR成田空港駅の警戒警備活動(千葉) | |||
NBCテロ対応専門部隊の訓練 | |||
特殊部隊(SAT)の訓練 | |||
サイバーフォース |