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 平成一八年は、エジプトやインドで発生した連続爆弾テロ事件、ドイツで発生した列車爆破未遂事件、また、事前に阻止された英国の航空機同時多発爆破テロ計画等、テロの脅威は依然として厳しいまま推移しました。
 北朝鮮は、七月にテポドン2を含む七発の弾道ミサイルを発射し、さらに、10月に地下核実験の実施を発表するなど、我が国を取り巻く国際社会の平和と安定に対し、深刻な脅威をもたらしました。また、日本人拉致問題について、北朝鮮は、我が国に対して、「拉致は解決済み」との姿勢を変化させないばかりか、我が国を「拉致問題を国際化するなど朝日関係全般を原点に立ち戻らせた」などと強く批判して、我が国政府の対北朝鮮政策の転換を求める動きを活発化させました。
 国内では、九月にオウム真理教の松本智津夫被告の死刑が確定し、「原点回帰」の教団運営を進める執行部と、この方針に批判的な観点を持つ派閥との間で対立がみられました。右翼は、北朝鮮による弾道ミサイルの発射や地下核実験実施の発表をとらえた活発な抗議活動を展開し、過激派は、活動拠点である大学からの排除活動に反発して違法行為に及ぶなど、厳しい警備情勢が続きました。また、六月下旬から七月下旬にかけて断続的に発生した梅雨前線による大雨で、九州地方から関東地方に多くの被害が出たほか、台風や竜巻による被害も発生しました。
 こうした中、警察は、国内外の関係機関と緊密に連携しつつ、テロ関連情報の収集、テロリストの追及検挙、重要施設や公共交通機関等の警戒警備を推進するなど、総力を挙げて警備諸対策に取り組みました。


掲載内容は、平成一八年一二月末現在のものです(特に記載の場合を除く。)。

地下核実験実施を発表した北朝鮮に対する決議案を全会一致で採択した国際連合安全保障理事会(10月)(共同)