プーチン大統領は、2000年(平成12年)5月、「強いロシアの復活」を目標に掲げて大統領に就任し、「国家が国内資源を監督し、経済再生につなげるべきである」とする自作論文を国政に反映させ、世界最大の生産量と埋蔵量の天然ガス、世界第2位の産油量を誇る石油等の資源関連企業に政府の関与を強め、旧ソ連崩壊後の弱体化した国内経済を立て直しました。 |
シベリアの油田(時事) |
ロシアの情報機関員は、旧ソ連崩壊後も各国において外交官等を装って諜報活動を活発に展開していることが明らかになっています。我が国においても、過去、旧ソ連及びロシアの情報機関員によると認められる諜報事件を十数件検挙しており、このうち旧ソ連が崩壊した1991年(3年)以降は8件を検挙しています。こうした諜報活動は、冷戦期のイデオロギー対立に根ざした特有の動向ではなく、ロシアが、日米間の軍事動向や我が国の内外政策のみならず、先端科学技術にも依然として強い関心を示し、我が国に諜報活動の重点を置いていることを示すものといえます。 |
ロシア軍戦略ミサイル(時事) |
ロシア戦略爆撃機(時事) |
ロシア軍の戦車部隊(時事) |
① 黒羽・ウドヴィン事件 (1997年(平成9年)警視庁) ロシア対外情報庁(SVR)に所属する非合法機関員が、1965年(昭和40年)ころに福島県内から失踪した黒羽一郎という男性になりすまし、我が国内外で30年以上にわたり各種の情報収集活動を行っていた事件です。 ② チェルヌィーフ事件 (1997年(平成9年)警視庁) 我が国の民間企業の代表取締役が、在日ロシア通商代表部員らから多額の報酬を得て、7年間にわたって、コンピュータ・ソフトウェアの仕様書、科学技術関係機関の発行する軍事関係資料等を旧ソ連及びロシアに提供していた事件です。 ③ ボガチョンコフ事件 (2000年(平成12年)警視庁・神奈川) 海上自衛隊三等海佐が在日ロシア大使館に勤務する海軍武官から工作を受け、現金等の報酬を得て、海上自衛隊内の秘密文書の写しと数十点の内部資料をロシアに提供していた事件です。 ④ シェルコノゴフ事件 (2002年(平成14年)警視庁) 元在日ロシア通商代表部員が、1999年(平成11年)10月、都内の飲食店において、防衛関連会社社長に対し、米国政府から供与された防衛秘密であるレーザー誘導ミサイル(「スパロー」)及び赤外線誘導ミサイル(「サイドワインダー」)の仕様書等を要求した事件です。 ⑤ サベリエフ事件 (2005年(平成17年)警視庁) 在日ロシア通商代表部員が、2004年(16年)9月ころから2005年(17年)5月ころにかけて、日本人会社員から、その勤務先の会社の先端科学技術に関する機密情報等を不正に入手し、対価として日本人会社員に多額の報酬を支払っていた事件です。 ⑥ 在日ロシア通商代表部員らによる窃盗事件 (2006年(平成18年)警視庁) 在日ロシア通商代表部員の工作を受けた日本人の元会社員が、その勤務先の企業が所有するミサイルの制御や誘導に転用できる「VOA素子」を窃取し、これを在日ロシア通商代表部員に提供した事件です。 |
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