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 革労協は、11年5月に主流派、反主流派に分裂して以降、双方が他方の「解体、根絶」を主張して激しく対立しています。これまでに14件の内ゲバ事件(10人が死亡)を引き起こし、組織からの脱落者が相次ぐなど、組織の維持自体が重要な課題となっています。17年は、内ゲバ事件は発生しませんでしたが、双方が互いに「報復」を主張して対峙(たいじ)を続けながら、大衆闘争に取り組み、組織の維持を図りました。
 主流派は、反主流派を排除した成田闘争に重点を置き、JR不採用問題等の課題で、大衆闘争に取り組み、活動家や同調者を動員しました。
 反主流派は、自衛隊のイラク派遣問題に重点を置き、JR不採用問題等に取り組み、主流派と同様に、活動家や同調者を動員しました。特に、陸上自衛隊のイラク派遣をめぐり、派遣部隊が所属する部隊の駐屯地の周辺で集会、デモに取り組みました。また、16年には2件の飛翔弾(ひしょうだん)発射事件を引き起こし、17年の年頭の機関紙においても「唯一の武闘派」を標榜(ひょうぼう)していましたが、同年中、反主流派による「テロ、ゲリラ」事件は発生しませんでした。
 両派は、18年も反戦闘争等に取り組み、組織維持を図りながら、内ゲバ事件や「テロ、ゲリラ」事件を引き起こす機会をうかがうものとみられます。

 成田国際空港株式会社(以下「空港会社」という。)は、本来の計画に基づく空港の完成(滑走路の2,500メートル化)に向け、東峰地区未買収地の地権者らとの用地交渉に取り組みましたが、これが進展しなかったために、7月15日、国土交通省に対して、本来の計画とは逆方向である北側に向けて、暫定平行滑走路を延伸する考えを報告しました。この報告を受けた国土交通省は、8月4日、暫定平行滑走路の北側延伸を正式決定し、空港会社にこれを指示しました。
 これに対して、中核派、革労協主流派等が支援する三里塚芝山連合空港反対同盟北原グループ(以下「反対同盟」という。)は、「北延伸決定への弾劾声明」と題する声明文を発表し、中核派は、「この暴挙を徹底弾劾し、北延伸攻撃粉砕・暫定滑走路閉鎖まで闘おう」などと反発しました。
 17年中、成田現地での全国規模の集会、デモは2回取り組まれ、「3・27全国総決起集会」には約420人、「10・9全国総決起集会」には約450人が参加しました。
 一方、16年12月の千葉県収用委員会の再建に対し、昭和63年に同委員会会長を襲撃した中核派が、「火を噴くゲリラ・パルチザン戦闘を貫徹する」などと強い言葉で反発しましたが、成田闘争関連の「テロ、ゲリラ」事件は発生しませんでした。
 反対同盟及びこれを支援する過激派は、18年も、引き続き空港会社や千葉県等に対する抗議行動、現地闘争に取り組むものとみられ、北側延伸のための公聴会や工事が行われた場合には、「テロ、ゲリラ」事件を引き起こすおそれも否定できません。


成田国際空港暫定平行滑走路(空港南側から撮影)

 警察は、過激派に対する事件捜査の徹底を図るとともに、アパート、マンション等に対するローラーに継続して取り組みました。また、ポスター等の各種広報媒体を活用し、過激派の危険性について国民に周知を図るとともに、不審情報の提供を広く呼び掛けました。
 この結果、17年中、非公然活動家6人を含む55人の過激派活動家を検挙するとともに、革マル派非公然アジト1か所を摘発しました。
 警察では、引き続き国民の理解と協力を得ながら、過激派に対する取締りを徹底することとしています。

警察庁作成の過激派対策用ポスター

 


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