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1 2005年日本国際博覧会の概要

 2005年日本国際博覧会(以下「愛知万博」という。)は、平成17年3月25日から9月25日までの間、愛知県において、121か国(日本を含む。)・4国際機関が参加して開催されました。開催期間中は、天皇皇后両陛下及び皇太子同妃両殿下を始めとする皇族方や、多くの国内外の要人が訪れるとともに、2,200万人を超える観客が来場しました。
 警察では、厳しい国際テロ情勢の下、会場を管轄する愛知県警察を始め、全国警察が一体となって総合的な警備諸対策を推進し、所期の目的を完遂しました。

2 愛知万博をめぐる警備情勢

(1)国際テロの脅威
 「米国における同時多発テロ事件」以降、世界各地でテロ事件が相次いでおり、愛知万博開催期間中にも「英国・ロンドンにおける同時多発テロ事件」が発生しました。こうした厳しい国際テロ情勢の下、愛知万博に対するテロ等不法事案が発生する可能性も否定できない状況にありました。

(2)天皇皇后両陛下及び皇太子同妃両殿下を始めとする
皇族方の御来場並びに国内外要人の来場

 天皇皇后両陛下は、3月24日の開会式に御臨席され、7月11日から13日には会場を御視察されました。また、皇太子殿下は名誉総裁として開会式、閉会式に御臨席され、7月20日には妃殿下とともに会場を御視察されました。
 一方、「ナショナルデー」や「スペシャルデー」には、参加国から元首や首相、閣僚等の多数の外国要人が来場したほか、開会式や閉会式を中心に小泉首相を始めとする国内要人が多数来場しました。

3 警備諸対策

(1)概要
 警察庁では、16年9月21日、警察庁次長を長とする「2005年日本国際博覧会対策委員会」を設置し、「テロ等不法事案の未然防止の徹底」、「安全かつ円滑な交通の確保」、「雑踏事故の防止」を基本方針として、関係省庁、博覧会協会等との緊密な連携の下、諸対策を推進しました。
 また、愛知万博会場を管轄する愛知県警察では、15年4月に「国際博対策課」を設置するとともに、16年6月には警察本部長を長とする「愛知万博業務推進本部」を、17年3月には「総合警備本部」を設置し、諸対策の万全を期しました。このほか、愛知県に隣接する各県の警察、警視庁等では、警備連絡室等を設置するなど、体制を確立して諸対策を推進しました。

(2)テロ対策
 警察では、テロ等不法事案を未然に防止するため、関係省庁、博覧会協会、外国治安情報機関等と緊密に連携し、水際対策、航空機対策、会場上空警戒、NBCテロ対策等を推進しました。
 また、天皇皇后両陛下及び皇太子同妃両殿下を始めとする皇族方の御臨席・御視察に際しては、皇室と国民との親和に配意しつつ、御身辺の安全確保と雑踏等による事故の防止を徹底しました。さらに、小泉首相、シラク・フランス大統領、ハワード・オーストラリア首相等多数の国内外要人が来場しましたが、情勢に応じた的確な警護警備を実施しました。

(3)交通対策
 愛知万博では、万博関連交通の安全と円滑を確保し、一般交通への影響を最小限に止めるため、交通総量抑制広報、指定駐車場への案内誘導、公共車両優先システム等によるシャトルバスの円滑な運行、3キロ圏通行禁止規制等の交通諸対策を推進して、期間中を通じて深刻な交通渋滞、重大交通事故・事件の発生を抑止しました。

(4)雑踏対策
 愛知万博会場につながる主要な公共交通機関であるリニモ(愛知高速鉄道東部丘陵線)の乗換駅での雑踏事故を防止するため、博覧会協会等に対してリニモの増発、臨時バスの運行等を働き掛け、乗客の滞留防止対策を推進しました。また、会場内においても、博覧会協会の自主警備隊との緊密な連携の下、所要の警戒警備を行い、雑踏事故の防止を図りました。


愛知万博会場

愛知万博会場の警戒警備

愛知万博会場北ゲート付近の雑踏

 


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